9条に自衛隊を明記する自民党案
去る11月7日、衆議院の憲法審査会で2年ぶりの自由討議が行われた。また、その1週間後の14日にも審議会が開催されている。
衆知のように、安倍晋三首相は2017年10月の衆議院選挙で与党が2/3以上の議席を獲得したことを踏まえ、憲法改正を着実に進めていく所存だ。自民党憲法改正推進本部が「憲法改正に関する論点のとりまとめ」として掲げているのは以下の4項目。
第1点は自衛隊について。憲法9条を改正し自衛隊を明記するという点。
憲法第9条は「……陸海空軍その他戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と規定している。事実上の軍隊である自衛隊がこの条文に違反すると考えるのはごく自然なことだろう。この違憲状態を解消するために第9条に自衛隊を明記するというのが自民党案なのだ。
筆者はこれは当然のことだと思うし、さらに、自衛隊を明確に陸海空軍と規定すべきだと考えている。多くの日本人は自衛隊という名称に慣れてしまっているが「Self Defense Army」というのはあらたまって考えてみるとおかしな呼称だ。他の国々と同様、明確に「Army」とすべきなのではないだろうか。
もちろん、そのためには第9条第2項を改正、又は、削除しなければならない。
第2点は「緊急事態」について、諸外国の憲法に見られるように「政府の権限集中や私権制限を含めた緊急事態条項を憲法に規定すべき」という点。
第3点は、「合区の解消」、都道府県を基本とし、都道府県にまたがる合区を解消すること。
そして、第4点は「教育の無償化」だ。

憲法改正を求める集会で安倍晋三首相のビデオメッセージが流された=2017年5月3日、東京都千代田区平河