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「温暖化で沈む国」ツバルの現実

ツバルの人がずっと住み続けたいと望んでも、彼らの力だけでは未来を実現できない

河尻京子 NPO法人ツバル・オーバービュー理事

ツバルの人たちではどうしようもない問題

 今年8月、南太平洋の国々の首脳らが集まる「太平洋諸島フォーラム」がツバルで開かれた。この時、島のあちこちに立て看板が立ち、「私はここに残る、ここが私のふるさとだから」「未来世代のために島を守る」などと書かれていた。護岸工事や埋め立てなどの写真も掲げ、ツバルに住み続ける意思を示していた。

拡大今年8月の「太平洋諸島フォーラム」の時に掲げられた看板。「気候変動による移住は、私にとっては選択肢ではない。私はここで生まれ、ここで育った」などと書かれている。

 9月の総選挙で新首相になったナタノ氏は、国内での移住を目的に温暖化の影響にも耐えうる人工島を建設する計画があることをメディアのインタビューで発表した。

 ただ、ツバルの人がずっとここに住み続けたいと望んでも、ツバルの人たちの力だけでは、その未来を実現できない。

 これは、スウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥンベリさんの話にも通じる。

 今の若者たちが自分のたちの未来を守りたい、温暖化の影響のない未来にしたいと望んでも、若い人たちの力だけでは難しい。だから彼女は、世界の政治・経済のリーダーたちに向けて、科学者が言うことに耳を傾けて、気候危機を回避するために今すぐ行動をとってほしいと訴えている。

 ツバルを始め南太平洋の国々も同じだ。自分たちの国に安心して住み続けられるように、世界の国々に温暖化対策を強化し、影響に対応する支援を訴えているのだ。

 IPCCは、早ければ2030年には、地球の平均気温の上昇が1.5℃に達すると指摘している。あと11年しかない。また、今世紀末に世界平均で海面が約1メートル上昇するという予想も発表している。

 5月にツバルを訪れたグテーレス国連事務総長のリーダーシップもあり、9月にニューヨークであった気候行動サミットでは、65カ国や多くの自治体が2050年までに温室効果カス排出量を正味ゼロとすることを誓った。さらに70カ国はパリ協定が求める削減目標や対策を2020年までに強化するか、すでに強化していると発表した。12月2日からマドリードで始まるCOP25に向けて弾みをつけた。

 COP25では、各国がそれぞれの対策をどれだけ強化できるかが勝負だ。残念なことに、日本はすでにこれまでの目標を据え置くことを決めてしまった。できるだけ早くより野心的な対策を打ち出すことが求められる。

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筆者

河尻京子

河尻京子(かわじり・きょうこ) NPO法人ツバル・オーバービュー理事

1970年生まれ。2017年大阪大学大学院国際公共政策研究科を修了し、修士(国際公共政策)を取得。同研究科博士後期課程在籍。1996年より温暖化の国際交渉に、地球環境市民会議や気候ネットワークなどNPO代表として参加。COP21ではツバル政府代表団の一員となる。全国地球温暖化防止活動推進センター勤務時にツバルと関わり始め、2019年ツバル駐在に。