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本屋をのみこむアマゾンとの闘い

日本出版者協議会相談役・緑風出版社長の高須次郎氏に聞く(上)

臺宏士 フリーランス・ライター

アマゾン上陸から45%減

――3社のほか、三元社、批評社の2社も1カ月の出荷停止に追随したようですが、売り上げへの影響はありましたか。

高須氏 残念ながらアマゾン側は、期限とした半年経っても除外要請に応じてくれませんでした。最初の3社は、出荷停止のまま今日に至っています。

 緑風出版で言えば、アマゾンへの当時の依存は取次売り上げの7%~8%ほどでした(平均は10~15%と言われていた)。一時的に売り上げは減少しましたが、後には徐々に回復しました。出荷を停止した出版社のブックフェアを行ってくれる書店もあり、支援してもらえました。

 ネットでの購入が広がり、実店舗で見つけた本のタイトルを携帯カメラで撮影し、帰宅してからアマゾンで注文する人もいます。書店側には相当の危機感があったのだと思います。

拡大アマゾンとの闘いを執筆した高須氏の「出版の崩壊とアマゾン 出版再販制度<四〇年>の攻防」(論創社)
――たしかに21世紀になっての新聞を含めた活字産業は、斜陽化の著しい典型業種と言えます。

高須氏 出版科学研究所の推計によると、米アマゾンが日本に上陸した2000年の書籍・雑誌の販売金額は、2兆3966億円でした。これが2017年には1兆3701億円と45%も減少しました。ピークは、米マイクロソフトの基本OS「ウィンドウズ95」の「日本語版」が発売された翌1996年の2兆6564億円で、この時からだと販売金額はなんと半減しています。

 書店や出版社の数も減り続けています。2000年の書店の数は、2万1495店だったのが2017年には1万2026店と44%も減少しました。いまでは地方自治体の2割には書店がありません。出版社も同じように4391社から3382社になりました。

 アマゾンは、2011年に日本での書店売り上げで1位になりました。「週刊東洋経済」の当時の推計では、アマゾンの販売額は1920億円。2位の丸善書店やジュンク堂書店を抱える大日本印刷グループの1569億円と大きな差をつけました。3位は紀伊國屋書店で1098億円でした。

 アマゾンは、経営情報の開示に消極的な企業なのではっきりとした数字は言えませんが、現在の売り上げは、2000億円から3000億円ほどと推計されています。わずか1社で書籍・雑誌売り上げの10%以上、小売り書籍の20%以上を占めているとみられています。街の本屋が次々と廃業に追い込まれるなかでアマゾンの一人勝ちなのです。

――アマゾンでは緑風出版など出荷を停止したはずの出版社の新刊本も購入することができます。なぜでしょうか。

高須氏 書籍の扱いからスタートした米アマゾンですが、いまの理念には「エブリシングストア」というのがあります。正式な取引関係にないメーカーの商品であってもあの手この手を使って仕入れる専門の部門があり、日本でも同じようにしていると言われています。アマゾンの主要な取引先の取次店である日本出版販売(日販)からは「緑風出版の本をアマゾンに出荷しないシステムを整備した」と言われました。私たちにもアマゾンがどこから仕入れているのかは、はっきりとはわかりません。

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筆者

臺宏士

臺宏士(だい・ひろし) フリーランス・ライター

毎日新聞記者をへて現在、メディア総合研究所の研究誌『放送レポート』編集委員。著書に『アベノメディアに抗う』『検証アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』『危ない住基ネット』『個人情報保護法の狙い』。共著に『エロスと「わいせつ」のあいだ 表現と規制の戦後攻防史』『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』など。 

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