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インドの成長を当て込む「2020年景気回復」

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

中国を追い抜くインド

 ロンドンに本拠を置くコンサルティングファーム、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の予測によると、2050年の時点でのGDPナンバー1は中国(PPPベースで58.499兆米ドル)、ナンバー2はインド(44.128兆米ドル)とされている。

 2018年時点でのGDPナンバー1はアメリカ(20.580兆USドル)、ナンバー2は中国(13.368兆USドル)で、インドは7位の2.718兆ドルに過ぎないが、今後急速にGDPを上昇させ、2040年前後にはアメリカを抜き、2050年にはナンバー2になると予測されているのだ。

 PwC予測によると、2016~2050年の年平均成長率のトップはベトナムの5.0%、ナンバー2はインドの4.9%とされているのだ。ちなみにインドに続くのは、バングラデシュ、パキスタン。フィリピン等で、2016~2050年はまさに「アジアの時代」だということができるのだろう。

 中国が人口減少局面に入るのと反して、インドは今後人口が急速に増加し、2025年前後には中国を抜き、2030年には15.1億人、2050年には16.6億人まで増加するとされている(国連推計)。ちなみに、中国の人口は2050年には13.7億人まで減少するとされている(2018年には14.0億人)。インドは30歳未満の人口が多く、全体の60%近くを占めている。今後、生産年齢人口(15才~64才)比率の増加が見込まれ、2040年頃まで人口ボーナスが続き、それが中長期的な経済成長率を高めていくのだ。

 経済成長率を次第に下げている中国に対し、インドは成長率を高めており、2015年には中国を抜き、(インド8.0%、中国6.9%)、その後もリードを維持している(2018年にはインド6.81%、中国6.57%)。前述したように、今後もインドの高度成長は続き、しばらくの間は6~8%の成長率を達成していくと思われるのだ。

拡大eamesBot/Shutterstock.com

 インドと日本は第二次世界大戦中から良好な政治・経済関係を維持し続けてきている。

 第二次世界大戦で欧米と戦った日本は、当時、イギリスの植民地だったインド独立を支援し、チャンドラ・ボース等のインド独立の旗主達は日本等に亡命し、そこから独立運動を行っていたのだ。日本がイギリスと戦ったインバール作戦でも、チャドラ・ボースはインド義勇軍のリーダーとして参加している。

 現在でも、インドと日本は首相の年一度の相互訪問が制度化されており、中国や韓国等とは違って、極めて良好な外交関係を長期にわたって維持しているのだ。昨年も12月15~17日には安倍晋三首相がインド訪問している。今年(2020年)はインドのナレンドラ・モディ首相が日本を訪問することになる。首相や大統領の他国訪問はしばしばあるのだが、相互の年一度の訪問が制度化されているのは日本とインドだけなのだ。

インドに続くインドネシア

 アジアの中国・インドに次ぐ大国インドネシア。人口は2.64億人と日本の2倍強。中国(13.95億人)、インド(13.34億人)、アメリカ(3.27億人)に次ぐ人口大国だ。

 前述したPwCの予測でもインドネシアは2050年、中国・インド・アメリカに次ぐGDPを有してくると予測されている。そして、アジア全体で世界のGDPの50%を超えていくとされているのだ。

 まさに、世界経済の中心がアジアに戻ってくる「リオリエント」現象が次第に現実になってくるということなのだ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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