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あなたの知らない農村~養豚農家は所得2千万円!

現代日本の農村に「おしん」はいない。国民の血税で所得補塡する必要はない

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

絶好調の畜産経営

 では、実際に影響は生じているのだろうか?

 TPP11には牛肉の重要な輸出国として、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドがあり、2019年度の関税はすでに26.6%に、削減前からすれば10%以上も下がっている。関税が下がれば国内価格も低下し、大きな影響が生じているように思われるかもしれないが、次のグラフを見ていただきたい。これは2001年の価格を100とした場合の和牛の子牛と枝肉の価格指数を縦軸にとり、その推移を年次別に示している。国産和牛の価格は右肩上がりで推移し、現在では歴史的な高水準を付けている。

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 影響が生じるどころか、国内牛肉業界を巡る状況は、バブル到来と言ってよいほどの絶好調である。豚肉も同様であり、関税低下の影響は全く見られない。

 では、TPPや日米交渉対策の対象となる農家の所得はどうだろうか?

 次の図が示す通り、肉牛8百万円超、酪農1千7百万円、養豚2千万円である。(なお、図の農外所得とは、サラリーマン所得などを指している。この図から、米作農業のほとんどは、サラリーマン所得が主の兼業農家や高齢な年金生活者によって行われていることがわかる)

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 仮にTPPや日米交渉で多少収入が減少したとしても、このような高額所得者に平均所得が4百万円程度の国民が、その支払う税金から補助金を支払わなければならないのだろうか?

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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