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老後2千万円が解決しても50代は幸せにならない

マネープランに偏重した定年後の生活設計は間違い。本当の幸せをつかむには……

前川孝雄 (株)FeelWorks代表取締役 青山学院大学兼任講師

拡大Edwin Verin/shutterstock.com

 「老後2000万円不足問題」を身に迫った問題と捉えているのは、会社員人生の最終コーナーを迎えた50代だろう。史上類を見ない低金利、子どもの養育費もまだかかる、年金支給時期も先延ばしされつつあり、定年後の生活設計に不安が尽きない。

 投資や保険などに関するセミナーも活況である。確かにマネープランは重要だが、ミドル・シニアのキャリア支援を手掛ける私は、「老後2000万円問題」が解決しただけでは、本当の幸せは訪れないと考えている。

 先に結論を述べると、本当の幸せをつかむには、これまでとは異なる意味合いを見出しながら働くことだ。30冊目の著作『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)にて詳述したが、本稿ではマネープラン偏重の考え方に警鐘を鳴らしたい。

思い描いていたほどハッピーにならないリタイア生活

拡大『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書)
 多くの現役世代が将来に不安を抱いている。しかし、本当に困窮に陥っているのは、国民年金しか払ってこなかった自営業者や、その国民年金さえも払えない就業困難者である。こうした困難のさなかにある人たちへの支援を、国は真剣に考えなければいけない。

 一方で、50代に差し掛かったバブル入社世代は、40代以下の就職氷河期世代と比べて、大企業に勤めている比率が高いため、相応の貯蓄もあるだろうし、企業によって減額や制度変更も進んでいるとはいえ、退職金や企業年金もあるだろう。マスコミが騒ぐ「老後2000万円不足問題」や、銀行・保険・不動産会社からの営業攻勢に煽(あお)られ、必要以上に経済的な不安に陥る必要はないのではないだろうか。

 とはいえ、安堵(あんど)するのは早計だ。そもそも、定年後の人生を考えたとき、大切なのはお金だけではない。 今の若い世代は、男性の育児参加も進んでいるし、働き方改革が進む中で、プライベートな生活を大切にする人たちも増えている。これに対し、バブル入社世代から上の男性は、いわゆる「会社人間」が当たり前。就職後の人生の大部分を、家庭を顧りみず仕事に捧げてきた人が大多数だ。家事も子育ても近所付き合いも、妻に丸投げしてきた人がほとんどではないだろうか。

 その結果、人間関係も会社の上司・同僚・後輩、取引先の担当者などに限られる。数少ない趣味も、仕事関係の付き合いで楽しむゴルフ程度という人も少なくない。

 このような人たちが定年退職し、いきなり悠々自適の生活に入ったらどうなるだろうか。

 もう満員電車に乗らなくてもいい、仕事のプレッシャーからも、煩わしい職場の人間関係からも解放されると考えると、夢のように感じられるかもしれない。しかし、会社人間の定年後の生活は、思い描いていたほどハッピーにはならない場合が多いのだ。

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筆者

前川孝雄

前川孝雄(まえかわ・たかお) (株)FeelWorks代表取締役 青山学院大学兼任講師

1966年、兵庫県明石市生まれ。大阪府立大学、早稲田大学ビジネススクール卒。2008年に人材育成支援を手掛ける(株)FeelWorks設立。「上司力研修」「50代からの働き方研修」などで400社以上を支援。2017年に㈱働きがい創造研究所設立。一般社団法人企業研究会研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業審査員なども兼職。著書は『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベスト新書)、『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『もう転職はさせない!一生働きたい職場のつくり方』(実業之日本社)など多数。30冊目となる最新刊は『50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方』 (PHPビジネス新書)