老後2千万円が解決しても50代は幸せにならない
マネープランに偏重した定年後の生活設計は間違い。本当の幸せをつかむには……
前川孝雄 (株)FeelWorks代表取締役 青山学院大学兼任講師
仕事に「生きがい、社会参加」を求めるシニア
内閣府「平成 30 年版高齢社会白書」によれば、 60〜64 歳の労働力人口は1990年には372万人だったが、2017年には536万人にまで増加。 65〜69 歳は199万人から454万人に、 70 歳以上は161万人から367万人にまで増加している。労働力人口全体に占める 65 歳以上の割合は、1990年の5.6%から2017年には 12.2%にまで上昇している。また、調査時点で仕事に就いていた 60 歳以上の 42.0%が「あなたは何歳頃まで、収入を伴う仕事をしたいですか」という質問に対して、「働けるうちはいつまでも」と回答した。
明治安田生活福祉研究所の「2018年50 代・ 60 代の働き方に関する意識と実態」によると、定年前正社員の8割が、定年後も働くことを希望している。もはや「定年=リタイア」という時代ではなくなったといえる。

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さらに注目したいのが、ミドル・シニアが働く動機だ。
厚生労働省「高齢社会に関する意識調査」)によると、就業理由で「経済上の理由」を挙げているのは40〜49 歳が最も多く( 77.55%)、年齢層が上がるほど目に見えてその割合は低下していく。 一方、「生きがい、社会参加のため」と回答した割合が最も多かったのは 70〜79 歳(58.3%)。次いで 80 歳以上( 50.0%)、 60〜69 歳(46.1%)となっている。年金だけでは生活が苦しいから働いているシニアばかりではなく、約半数の働くシニアは、仕事に「生きがい、社会参加」を求めているのである。
「元気だから働く」ではなく「働くから元気」になる
このシニアの声にこそ、働くことの本質を読み取ることができる。
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