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農家はもはや弱者ではない

農地転用で得る莫大な利益、医療費を増加させる日本型畜産…強い農業に保護は不要だ

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

外国人研修生への圧迫

 労働力不足を指摘される農業は、早い段階から外国人技能実習制度を活用してきた。

 日本にいる外国人研修生の7~8%程度が農業分野で研修を受けている。農業のGDPに占めるシェアが1%であることからすると、農業分野での外国人研修生の多さがわかる。

 この制度の本来の目的は、外国人研修生に高度な技能を身につけさせて、本国の発展に貢献してもらうというものだが、安い労働力の確保のために利用するという考えの農家が多い。

 この外国人技能実習制度については、最低賃金も払わない、農繁期に不当に労働させる、逃亡しないようにパスポートを取り上げるなどといった不正行為が多く指摘されている。毎年200件ほどの不正行為が発覚しているが、業種別には農業・漁業関係が最も多く、全体の3割を占めている。

 このような不正行為に耐えられなくなった外国人研修生は失踪するが、農業の失踪率は17%と建設業に次いで高く、他産業の2倍程度にも上っている。

 不正行為を行っているのは一部の農家だろうが、自らは最低賃金の倍以上の報酬を得ながら、外国人研修生には最低賃金すら払わないというのであれば、これは農家による差別的な搾取行為である。

医療費増加の一因となる日本型畜産

 畜産は別の点でも「加害者」となっている。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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