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フレディ・マーキュリーが語る親友メアリーと楽曲

クイーン・オフィシャル・アーカイヴァーのグレッグ・ブルックスさんに聞く

岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

オーディエンスとの相互の信頼関係

 この本はフレディを「超人的シンガー」と表現する。どこが超人的なのか? ブルックスさんに聞いてみた。

 「音楽の歴史の中でも最高のシンガー、パフォーマーだからです。両面を持っていたからスーパーなのです。私は他のバンドも見てきましたが、それらとは100万マイルも離れた存在です」

 「フレディはコンサートを成功させるためにとても努力していました。フレディは熟達したシンガーであり、パフォーマーでしたが、それでもなお練習を重ねていました」

 では、フレディはファンのことをどう見ていたのか。第5章にフレディのこんな発言が出てくる。

 「僕らの音楽は紛れもない現実逃避だと思っている。(中略)。お客さんは会場にやってきて、演奏を聴いて、個人的な問題をしばらく忘れて、その2時間を楽しむ、それでおしまい」(P121)

 さらに、「僕の音楽はどんなジャンルにも収まらない」(P121)とし、できるだけ多くの人たちに聴いて欲しいと願い、「常に違うオーディエンスを魅了できるようにもしたい」(P122)とも語っている。

 とすれば、今、日本で世代を問わず、クイーンの楽曲が愛されているのはフレディにとって本望に違いない。

クイーン拡大クイーン展に展示されているフレディ・マーキュリーの衣装=2020年1月15日、朝日新聞社撮影

クイーンもオーディエンスをリスペクト

 ライト層のクイーンファンを取材していると、コンサートでのファンとの一体感に、憧れのようなものを感じている人が少なくない。簡単な言葉で言い表すと、「AY-OH」とコールアンドレスポンスをしたり、両手を挙げて左右に揺らしながら『We Are The Champions』を一緒に歌ったりして、クイーンと一体化したいという欲求だ。

 この人と人とが「つながりたい」という部分について、アーカイヴァーとしてどう見ているのか? ブルックスさんはこう答えた。

 「オーディエンスとのつながりで一番重要視していたのがコンサートで、ファンもそれを喜んでくれていた。だからコンサートに入念に準備をして備えていた」

 「演出や衣装などアートワークにも非常にこだわったのは、ファンとのつながりを重視したから」

 「オーディエンスもフレディやクイーンをリスペクトしていたし、クイーンもオーディエンスをリスペクトしていました。相互の信頼関係があったということです」

クイーン拡大シンコーミュージックの資料室に残る貴重なファンとの交流写真 © Koh Hasebe / Shinko Music Archives

「いくつかのブライアンの曲を除けば」メッセージ性のある曲はない

 フレディは楽曲づくりについて、どう考えていたのか。同書の第5章にある彼の発言は示唆に富む。

 「僕が書く曲は、思うに、基本的に……消耗品」、「僕らの楽曲は紛れもない現実逃避だと思っている」、「自分の曲をすべてに分析しようとするのは大嫌いだね」など、意義づけを嫌う発言が目立つ。

 「クイーンの音楽で世界を変えたいとは思わない。僕らの曲に隠れたメッセージなんてない――いくつかのブライアンの曲を除けばね。僕はBICカミソリの刃みたいなもの。娯楽用、現代人の消費用なんだ。使用済みのティッシュみたいに捨てていい。聴いて、気に入って、捨てて、また次のを聴く。使い捨てのポップ。メッセージソングはかきたくない。政治的なモチベーションは僕にはないからね。ジョン・レノンやスティービー・ワンダーとは違うんだよ。政治は僕の思考には入ってくる、もちろんそれはある、でもそれは捨てる、僕らはミュージシャンだからね。政治的にはなりたくない、深いメッセージをかく才能が自分にあるとも思えないから」(P116)

 さらに、こう続ける。

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当、オピニオン編集部「論座」編集を担当を経て、2020年4月からメディアデザインセンターのバーティカルメディア・エディター、2022年4月からweb「なかまぁる」編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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