消費税を廃止し、所得税・法人税を増税して税収を確保できるかを検証する
2020年01月24日
れいわ新選組代表の山本太郎氏が、文藝春秋2月号で「消費税ゼロで日本は甦る」と題する「政策論文」を掲載している。
消費税を廃止すれば約一か月分の給与である22万円が消費者の手元に返ってくる、中小零細企業は消費税で赤字覚悟の納税をしており、廃止になれば救済される、ということのようである。
消費税廃止には26~27兆円の財源(地方消費税を含む)が必要なので、税金(増税)と政府の借金増(国債の増発)で賄う。増税は、所得税と法人税で、前者は高所得者への増税、金融所得も合算して累進税率を課す総合課税にする、後者は所得税並みの累進税率を課し、大企業向けの租税特別措置を廃止することを提言している。
消費税廃止の代替財源は26~27兆円だが、山本氏は9兆円の財源のかかる「奨学金チャラ」も政策として掲げ、かたく見積もっても政策実現にかかる財源は40兆円弱というところだ。
我々庶民にすれば、全くありがたい提案だが、「フリーランチはない」というのが経済学の金言だ。果たして代替財源に実現可能性はあるのか。
令和2年度の消費税収(国)は21.7兆円、所得税収は19.5兆円、法人税収は12.0兆円なので、話を単純化し、消費税を廃止した代わりに所得税を10兆円、法人税を10兆円増税するという内容を議論することとしたい。
まず所得税について。わが国の所得税(国税)の負担構造は図表1のようになっている。
納税者の大部分は課税所得330万円以下の中低所得者で、40%や45%(最高税率)の税率が適用される者は極めて少数である。この構造の下で10兆円の税収を確保するためには、中低所得者の負担を大幅に引き上げざるを得ない。
具体的に論じてみよう。
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