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IMF経済見通し、インド減速で下方修正

 国際通貨基金(IMF)は去る1月20日、「世界経済見通し」(WEO)を発表した。2020年の成長率を3.3%とし、昨年10月時点の予測から0.1%ポイント下方修正をした。2019年の成長率は2.9%だったので、3年ぶりの成長加速ということになる(2017年3.8%、2018年3.6%、2019年2.9%)。

 下方修正の原因はインドを含む新興国の経済が予想より大きく減速するとされているため。前回10月15日のWEOでは新興・発展途上国の成長率は2019年の3.9%から4.5%まで大きく上昇するとされていた。特に、インドは2019年の6.1%から7.0%まで成長率を高めるとされていたのだ。

 しかし、今回のWEOではインドの成長率は5.8%とし、前回見通しから1.2%下方修正した。国内の信用収縮が要因で、今回の世界経済見通しでは新興国のなかで最大の下方修正となった。2021年には財政刺激策の効果で6.5%に戻すとの見方を示したが、それでも前回見通しから0.9%ポイントの下方修正となる。

 事実、2019年8月にインド政府が発表した第1四半期の実質GDPの成長率は5.0%。5四半期連続で経済成長率が鈍化している結果となったのだ。

 落ち込みの最大の原因は個人消費の弱さ。2019年4~6月(第14半期)の民間最終消費支出は3.1%増にとどまり、前年同期7.3%から大きく落ち込んだ。

 個人消費の落ち込みは、そのまま国内自動車(新車)の販売の減少につながる。2019年8月のインド国内の乗用車販売台数は前年同月比で31.6%の減少。自動車市場の販売不振は関連企業にも影響を及ぼし数多くの失業者(一説には100万人規模)を生みだしているとの報告もある。

 インド以外チリ等の他の新興国の成長率も下方修正。メキシコについては1.0%と前回見通しから0.3%引き下げている。チリについては政情不安、メキシコについては投資が引き続き弱体化していることを理由に成長率見通しを引き下げたのだ。

 ただ、新興国のなかでも中国について2020年の成長率は6.0%とし、前回見通しから0.2%上方修正をしている。アメリカが発動予定だった一部関税処置を取り下げたことなどがその理由だという。

 先進国についても見通しを下方修正。アメリカの2020年の成長率は2.0%と前回見通しから0.1%減。ユーロ圏は1.3%と、これも前回から0.1%の減少。ドイツの製造業の停滞のほか、スペインの内需低迷が重しになるとしている。イギリスについてはEU離脱が秩序立ったものになるとの見方から、2020年は1.4%、21年には1.5%で安定化するとの見方を示している。

 日本については、2020年の成長率見通しを0.7%に引き上げている(昨年10月は0.5%)。2019年の成長率見通しも1.0%と0.1%上方修正されている。2019年の見通し引き上げは、2019年10月の消費税対策や堅調な設備投資などを、2020年は政府の経済対策で見込まれる景気押上げ効果をそれぞれ反映させているという。効果の薄れる2021年は0.5%まで下がると見込んでいる。

拡大isak55/Shutterstock.com

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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