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14世紀、イタリア詩人が描写したペスト禍の惨状

新型コロナウイルスの感染拡大が想起させるパンデミックの記憶

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 1348年、イタリアの美しい街々の中にあってもひときわ美しい花の都フィレンツェに、死の疫病ペストが襲いかかってきた。数年前に東方の各地に発生し、無数の人々の命を奪っては次々に行先を変え、恐ろしいことに西洋に向かって広がってきた。

 ペストは1347年にシチリア島に上陸し、イタリア半島を北上して翌48年にフィレンツェに達した。ペスト発生の情報が東方のユーラシア奥地やイスラム圏から届き、恐怖の中で身構える様子が伝わって来る。

まずリンパ節に瘤ができ、黒い出血班ができる

 ボッカッチョは患者の症状の変化を見逃さない。

 初期の段階では男女とも、鼠蹊(そけい)部と腋(わき)の下に一種の腫瘍を生じ、その瘤(こぶ)はたちまち全身に広がる。その後、身体のあちこちに黒や鉛色の斑点を生じるが、それはもう死を意味していた。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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