高齢化まっしぐらの東京へ、若い女性たちがなだれ込む
ブラックホール東京。人・企業・行政の一極集中はハイリスク
木代泰之 経済・科学ジャーナリスト
総務省がこのほど発表した2019年の人口移動データによると、東京圏(一都三県)の転入超過(転入者が転出者を上回る数)は14万8783人で、前年より約9000人増えた。24年連続の転入超過で、東京圏の人口拡大が止まらない。
東京23区内の私立大学は「いま入試が大変な事態」
東京圏の転入超過の70%は15-24歳の若者で、女性が全体の56%を占める。その裏腹に東日本各県は深刻な転出超過だ(表の下半分)。もっぱら若い女性が地方から東京圏になだれ込んでいる。
人口移動の契機になるのは主に大学進学と就職だ。文部科学省は、大学生の東京一極集中を防ごうと、昨年度から東京23区内の私立大学に対して、厳しい定員規制を実施している。
ある私立大学(入学者5000人超)のトップは「この規制のために入試が今大変なことになっている」と打ち明ける。
「入学者が定員を0.01%超えただけで私学助成金を減額される。大学は合格後に辞退者が出る歩留まりを考えて多めに合格者を出すが、1名でもオーバーすることは許されない。そのため1次合格者から4次合格者まで補欠を決めておき、歩留まりを見ながら最後の4次合格者で定員に合わせる。ものすごく神経を使う日々です」
文科省のこの規制は、あと9年続く。その実施に当たっては、東京一極集中の是正を求める全国知事会と、実効性を疑問視する私大側で激しい応酬があったが、結局、政府の「地方創生」の方針に沿って実施された。