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新型コロナウィルスの「時間差」攻撃で大揺れの世界経済

中国、日本、欧米で異なる経済への影響。懸念される「負の連鎖」は避けられるか

武田淳 伊藤忠総研チーフエコノミスト

最悪期を脱しつつある中国

 以下、新型コロナウイルスをめぐる世界の現況について、詳しく見ていこう。

 震源地の中国では、当初1月24日から30日とされていた春節休暇を前に、新型コロナウィルス感染者拡大への対応が本格化し、その起点となった武漢市を含む湖北省は事実上封鎖されたほか、交通機関の利用を全国的に制限、団体の海外旅行も禁止するなど、感染拡大を食い止めるための思い切った措置が取られた。

 その結果、春節期間中の個人消費は、旅行や外食、小売を中心に前年同期に比べ3~4割程度減少した。さらに政府は春節休暇期間を2月2日まで延長、大部分の地域で春節休暇明けの企業活動を1週間程度停止したため、この間、経済活動は幅広い分野で全国的に大きく落ち込んだ。

 その後、湖北省を除いて企業活動再開の動きが広がっているが、まだ完全回復には至っていない。今年1~3月期の経済成長率は、昨年10~12月期の前年同期比6.0%から4%以下に減速する可能性が高いとみられる。

 他方、明るい材料も出始めている。2月上旬には新規感染者数が3000人を超える日が続いていたが、2月半ば以降は1000人未満にとどまっており、感染拡大が“ピークアウト”する兆しがある。省を跨(また)ぐ長距離バスの運行も順次再開され、北京では人手が戻りつつあるとの声も聞かれる。

 比較的感染者数が多かった広東省でも、対策レベルが中央政府から地方政府へ引き下げられ、前述の通り生産・営業活動を再開する企業が増えるなど、徐々にではあるが「正常化」に向けて歩を進めている。新型コロナウィルスの影響は最悪期を脱しつつあるように見える。

拡大FOTOGRIN/shutterstock.com

悪影響が深刻化する日本・アジア

 中国とは対照的に、悪影響が深刻化しているのは、日本を含むアジア地域であろう。

 日本においては、

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筆者

武田淳

武田淳(たけだ・あつし) 伊藤忠総研チーフエコノミスト

1966年生まれ。大阪大学工学部応用物理学科卒業。第一勧業銀行に入行。第一勧銀総合研究所、日本経済研究センター、みずほ総合研究所の研究員、みずほ銀行総合コンサルティング部参事役などを歴任。2009年に伊藤忠商事に移り、伊藤忠経済研究所、伊藤忠総研でチーフエコノミストをつとめる。

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