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コロナショックで「中央銀行バブルの崩壊」が始まった

世界の金融市場はバブル化していた。コロナ禍が終息しても金融市場は戻らない

原真人 朝日新聞 編集委員

総崩れの金融マーケット

 それにしても、ここ半月ほどのマーケットの展開はまさにジェットコースターのようだった。

 米国株式市場は2月上旬までニューヨーク市場も、新興企業専門のナスダック市場も、どちらも史上最高値を更新する好調さだった。それが2月下旬になると一転して崩れた。24日にはダウ相場が2年ぶりの安値をつけ、その後も連日下げ始めた。

 きっかけはコロナウイルス禍だった。中国を襲ったこの疫病は米中貿易に深刻な影響があると警戒されてはいたものの、当初は日本や韓国を含めた「アジア問題」とみなされていた。

 ところがイタリアでの深刻な感染拡大が伝わると、「パンデミック」(感染の世界的拡大)の可能性が急に意識されるようになり、欧米の投資家心理が急速に冷えたのである。

 ダウ相場は2月最終週だけで3600ドル近く下げ、史上最大の下落幅を記録した。すると、たまらず米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は「適切な行動をとる」と談話を出した。

 主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は3月3日夜に急遽、電話会合を開き、「すべての適切な手段を用いる」という共同声明を発表した。動揺する金融市場を落ち着かせるためにメッセージを出す必要に迫られたのだ。

 その直後、FRBは共同声明の実践と言わんばかりに緊急利下げを発表。政策金利の誘導目標を0.5%幅引き下げ、「年1.00~1.25%」とした。

 FRBの政策の基本的な変更幅は通常なら0.25%幅ずつだ。今回は2回分の0.5%幅を一気に下げる大盤振る舞いだった。それだけFRBの危機感が強いことがうかがえる。

 そんな思い切った金融緩和にもかかわらず、金融市場の動揺は止まっていない。各国の株式市場はその後も乱高下を繰り返している。

 3月9日にはダウ平均株価は史上最大の2000ドル超の下げ幅を記録。リスクマネーは逃げ場を求めて、比較的安全な米国債に集まっている。米国債の価格は急騰(その結果、長期金利は急低下)し、10年金利は3日、米国で初めて1%を割った。9日には一時、史上最低の0.3%をつけた。

拡大katjen/Shutterstock.com

「日本化」した欧米経済

 これは米国市場の大きな変化を物語っている。

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。コラム「多事奏論」を執筆中。著書に『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)。共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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