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JR四国は「新幹線を持たない強み」を活かせ

JR四国の再生プラン策定への道は険しい。それでも生き残る道はある

福井義高 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

2.万遍なく低利用

 【図表2】に四国の国鉄・JR輸送密度の路線別推移を示した。

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 これを見れば明らかなように、1970年代半ば以降、分割直後の一時的な回復を除き、全路線とも継続して利用状況が低下している。北海道は高利用路線と閑散路線に両極化しているけれども、四国では極端に利用者の少ない路線は予土線のみである一方、最重要幹線である予讃線(内子線を含む)ですら、輸送密度は6.4千人で、国鉄時代の幹線基準8千人を下回っている。全般的に低利用ながら、さりとて、即廃止というにはまだ利用者が残っている状況である。

 ただし、国鉄というより昭和最後の国家的な二大プロジェクト(本四架橋、青函トンネル)で恩恵を受けたのは、JR四国の方であった。

 【図表3】は本四(宇高航路・瀬戸大橋)利用人員と青函(青函航路・トンネル)利用人員の推移を比較したものである。

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 本四は、宇高連絡線時代は利用低下に歯止めがかからなかったのに、瀬戸大橋開業で利用人員はV字回復を果たし、その後も1日2万人を超える水準を維持している。実は、この瀬戸大橋を含む児島・宇多津間は、正式には本四備讃線と呼ばれ、JR四国路線のなかでダントツの輸送密度(2018年度24.0千人)を誇っている。なお、途中駅はないので利用人員イコール輸送密度である。

拡大瀬戸大橋の主塔からは瀬戸内の島々が一望できる=2019年5月17日、香川県坂出市

 一方、青函トンネルの方は、開業直後に一時的に利用者が増えただけで、新幹線が開業したにもかかわらず、現在では、5千人を割り込んで推移している。全盛期に比べ見る影も無くなっていた国鉄末期の青函連絡船利用人員をも下回る水準だ。

 さて、分割後の四国と北海道における鉄道輸送の明暗を分けた理由は何か。輸送量を定期と定期外に分けた【図表4】【図表5】を見ていただきたい。

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 JR四国の2018年度の輸送量は1988年度と比べ、7.1億人キロ(33%)減少したけれども、定期輸送量は6.1億人キロから5.9億人キロに0.14億人キロ減っただけで、横ばいと言ってよい。一方、定期外輸送量は、15.1億人キロから8.2億人キロにほぼ半減、6.9億人キロ減少している。JR四国の輸送量減はもっぱら定期外利用の落ち込みに起因する。

 それに対し、JR北海道は分割当初の輸送量水準を維持している。同じ期間で比較すると、定期外輸送量が6.3億人キロ減ったものの、定期輸送量が4.3億人キロ増えたため、全体で1.9億人キロ(4%)の減少にとどまっている。

 JR四国もJR北海道も定期外輸送量の減少に直面した点は同じである。ところが、JR北海道はその減少を定期輸送量の大幅増でカバーすることができたのに対し、JR四国では定期輸送量が横ばいだったため、定期外輸送量減少がそのまま直撃するかたちとなった。

 なお、定期外輸送量は四国・北海道のみならず九州でも激減している。JR九州の定期外輸送量は、九州新幹線開業にもかかわらず、2018年度は50.7憶人キロまで減少しており、1975年度の四分の三の水準でしかない。青函トンネル利用状況の低迷でも明らかなように、新幹線の輸送量増への貢献は限定的なのだ。一方で定期輸送量は1975年度の38.1億人キロから2018年度の42.1億人キロに増えている。

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筆者

福井義高

福井義高(ふくい・よしたか) 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

青山学院大学国際マネジメント研究科教授。1962年生まれ、東京大学法学部卒。85年日本国有鉄道に入り、87年に分割民営化に伴いJR東日本に移る。その後、東北大学大学院経済学研究科助教授、青山学院大学国際マネジメント研究科助教授をへて、2008年から現職。専門は会計制度・情報の経済分析。

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