福井義高(ふくい・よしたか) 青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授
青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。1962年生まれ、東京大学法学部卒、カーネギー・メロン大学Ph.D.、CFA。85年日本国有鉄道に入り、87年に分割民営化に伴いJR東日本に移る。その後、東北大学大学院経済学研究科助教授、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科助教授をへて、2008年から現職。専門は会計制度・情報の経済分析。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
JR四国の再生プラン策定への道は険しい。それでも生き残る道はある
自家用車が普及し、一般道路のみならず高速道路が全国津々浦々まで整備され、飛行機が大衆の乗り物となった今日、鉄道に残されたマーケットは限られる。鉄道は他の輸送手段から零れ落ちた「すき間」を埋める存在として、生き残りを図るしかない。
「すき間」と言っても、客観的条件に恵まれれば、市場規模は巨大になり得る。その条件とは人口集積である。人口自体ではなく、人口が集中していることが、大量輸送という鉄道の特性を発揮するには決定的に重要である。
幸い、北海道と九州には、札幌と福岡という先進国有数の大都市圏が存在する。そのため、【図表6】に示したとおり、それまで国鉄が全国一元管理でなおざりにしていた札幌・福岡都市圏の潜在需要に応えたJR北海道・九州の地域密着経営によって、分割後、両都市圏の鉄道輸送量は大幅に増えた。
ところが、北海道・九州と同じように、四国でも地域密着経営が行われたにもかかわらず、【図表7】に示したとおり、四国県庁所在地鉄道輸送量はせいぜい横ばいで、徳島に至っては分割後も低下傾向が止まらない。それに対し、瀬戸大橋で四国と鉄道で結ばれた岡山の輸送量は大きく増えている。
なぜ、瀬戸内海を挟んで北と南で明暗を分ける結果となったのか。
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