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「和牛商品券」という愚策が提案されてしまった理由

現在の農政劣化を象徴する前例なき政策提案。どうしてこんなことに……

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

なぜ和牛だけ? 生計が成り立たない事態か?

 まず、一般に批判されているように、なぜ和牛だけなのかということである。

 人が高級なレストランへ行かなくなって、和牛の消費が落ちて価格が低下したことが、国産牛肉の商品券を提案した理由とされている。

 しかし、消費が減少しているのは、和牛だけではない。しかも、和牛は通常消費者が食べない奢侈(ぜいたく)品だから、高級外食が減少して消費も減ったのである。消費者からすれば、どうしても食べなくてはならない必需品ではない。

 必需品に商品券を配るのであれば、貧しい消費者対策としてある程度理解できるが、そうではない。明らかに、和牛生産者だけのことを考えた救済措置である。

 第二に、和牛生産者の生計がこれで成り立たないような事態になっているのだろうか、という点である。

 『あなたの知らない農村~養豚農家は所得2千万円!』で指摘したように、3月に入るまで「国産和牛の価格は右肩上がりで推移し、現在では歴史的な高水準を付けて」きたのである。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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