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新型コロナのもう一つの問題。「在宅破綻」から始まる「医療崩壊」

横浜在宅看護協議会の栗原美穂子会長に聞く

岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

スタッフは通勤時にマスクと使い捨て手袋を着用

――具体的にはどのような指示をスタッフに出しているのでしょうか。

 スタッフには、電車やバスでの通勤の場合は、マスクと使い捨て手袋をするように徹底しています。利用者ごとに約束している時間があるので、通勤時間をずらすことはできず、朝のラッシュ時に出勤せざるを得ない状況です。リモートワークもできません。どこかで誰かが感染してしまったら、いま抱えている在宅患者を誰も看護できなくなるので、できる限りのことはしているつもりです。

――どのような手法を使っているのでしょうか。

 こまめに手洗いとうがいをすることです。利用者の自宅を訪問するときは必ずせっけんを持参し、タオルも訪問先ごとに変えます。あとはマスク。処置やケアで使い捨て手袋を使うのはいつものことです。

 仕事以外のプライベートでも、買い物などで人ごみに行かないとか、マスクと手袋をして外出するといった指導をしています。

 通勤時のマスク、使い捨て手袋着用以外は、ノロウイルスなど通常の感染症対策と同じです。どこまでやるのかは、各訪問ステーションの判断によるので濃淡があると思います。マスクと手指消毒がないことに、在宅医療の現場は困っています。病院と比べて在庫が少ないのです。

訪問看護クライシス拡大Maridav/Shutterstock.com

スタッフ全員が「濃厚接触者」になり閉鎖される可能性

――訪問する側が細心の注意を払うしか手段がないということですね。

 利用者の多くは高齢者や医療的ケアが必要な小児で、家の中でマスクをつけて生活するのは難しい方々です。

――スタッフが感染者と濃厚接触してしまった場合、訪問看護ステーションではどのように対処するのでしょうか。

 スタッフは事務所の中で時間を共にしているので、全員が「濃厚接触者」だと考える必要があると思います。事務所は病院のように広いスペースではないので仕方がありません。

 そうなると、訪問看護ステーション全体が機能しなくなるので、自宅から利用者宅まで直接行き帰りして、事務所に寄らない方法も検討しています。ただ、その場合、ケアマネジャーや在宅医などの人たちへの連絡など、多職種の連携を通じて病院と同じような質のサービスを提供してきた在宅看護をどう維持していくかが課題になってきます。

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当、オピニオン編集部「論座」編集を担当を経て、2020年4月からメディアデザインセンターのバーティカルメディア・エディター、2022年4月からweb「なかまぁる」編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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