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新型コロナ検査。埼玉県100人の結果から見えた限界と課題

「調査の目的化」に意味はない。保健所は医療機関を支援する業務に注力せよ

松浦新 朝日新聞経済部記者

検査までに広がる感染

 帰国者でも濃厚接触者でもなかった人は27人で、平熱の人はおらず、「37度台」も5人(19%)と、明らかに少ない。この人たちの多くは、検査にたどり着くまでに熱が出て、何度も医療機関にかかっている。

 例えば、春日部市の50代の会社員は、3月8日(日)に同市内の会社で仕事をした後、39度の熱とのどの痛みを覚えた。翌日は休みだったが、10、11日は熱もなく出勤した。12日は発熱で仕事を休み、13日午前中に自転車で医療機関にかかった。熱が上がって休み、下がって出勤することを繰り返しながら、3回医療機関にかかり、18日にようやく検査を受けて陽性が判明する。

 この人の周りには「濃厚接触者」が多く出た。同居する80代の母に熱などの症状はなかったが、20日に陽性と判定された。会社の同僚4人も感染がわかったが、いずれも症状がないか軽く、医療機関にはかかっていない。その一人の50代の女性はせき程度で熱はなかったが、同居する20代の子供2人も陽性とわかった。その一人の男子大学生は、検査を受ける前に38度台の熱がでて、13日に医療機関にかかったが検査にはつながらず、熱も症状もなくなっていた。陽性と判定された母の濃厚接触者となったことで、ようやく23日に検査を受けたのだ。

拡大初期には有効な「積極的疫学調査」だが……

 このように、陽性が判明した人の濃厚接触者を追いかける調査を「積極的疫学調査」という。陽性者がみつかると、その人の行動を調べて、関係者にあたり、症状がでていようがなかろうが検査をして、さらなる拡大を防ぐ。

 積極的疫学調査は、感染が広がり始めた初期には有効だが、

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筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、東京本社さいたま総局などを経て現在は経済部に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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