メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

学校給食で余剰農産物を処理するな!~「高級和牛を給食に」が映し出すもの

国民全体の利益から農業政策を考えようとしない「オール与党」の国会

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

過剰在庫がなくなれば学校給食から消える

 高価な和牛を学校給食で提供しようとすると、給食費の範囲内に抑えるため、多額の補助金が必要となる。同じように余っているマグロやホタテまで提供しようとすると財政負担は大きなものとなる。

 それだけではない。これは学校が教育の場であるという観点を無視している。これまでの学校給食の歴史も、余剰農産物の受け入れ、出す方からすれば、余剰農産物の押し付けだった。そこに教育という観点は少なかった。

 しかし、米飯も牛乳も、それなりに長続きしてきた。これを通じて児童は、世界や日本の食料・農業問題について考えるようになったかもしれない。また、主食である米を食べることは、日本人としてのアイデンティティに気づいたり稲作を通じて形成されてきた日本の社会や文化を勉強したりする契機になったかもしれない。

 しかし、今回検討されているものは、過剰が生じている今だけのものである。過剰在庫がなくなれば、和牛のメニューは学校給食からなくなる。

 レストランで売れなくなったものを食べさせられることを知った児童は、自分たちの胃袋が大人に都合よく利用されているだけだと気づくのではないだろうか?

・・・ログインして読む
(残り:約3440文字/本文:約5571文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

山下一仁の記事

もっと見る