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元検事総長も弁護士も会長・社長の言いなりだった~関西電力の監査制度の実態

倫理観を失ったエリートたち。コーポレート・ガバナンスの最大の危機

加藤裕則 朝日新聞記者

監査役はなぜ沈黙したのか

 調査報告書によると、関電の監査役が知ったのは、2018年10月1日。コンプライアンス担当の月山將常務執行役員が、元副社長の八嶋監査役に伝えたときだった。

 ただ、金沢国税局が関電の調査に着手した2018年2月から、すでに半年もたっていた。関電が1回目の調査報告書をまとめたのが同年9月11日で、それからも3週間が経過していた。

 八嶋氏は後日、岩根茂樹社長(当時)に「報告が遅い」と苦言を呈したという。しかし、その毅然とした態度は長く続かなかった。

 八嶋氏は改めて他の2人の社内出身監査役とともに事情を聞いた。そのうえで4人の社外監査役のもとを訪ね、金品受領問題について説明したという。

 監査役たちはこの問題のリポートを作成。経営陣の対応について「おおむね妥当」としたうえで、再発防止策を求めた。今年3月14日に公表された調査報告書によると、「監査役が独自に取締役会に報告する義務まではない事案であるという認識が形成され、実際に本件問題が報告されることはなかった」と結論づけている。

 なぜ、コンプライアンスに敏感でなければいけない監査役が沈黙したのか。

 会社法では、監査役は違法行為やそのおそれがあるときは取締役会に報告し、調査や是正を促す義務を定めている。監査役は、コンプライアンスも含め、違法行為がないよう倫理観を持って経営してもらうよう内部からチェックするのが仕事で、取締役同様、役員という高い地位にある。

 ところが、監査役たちはこの責務をまるで放棄し、監視対象の取締役会に判断を丸投げした。

 2018年10月23日、監査役は月山執行役員に対し、取締役会に報告する必要があるかどうか法的整理をするよう求めたことが報告書に明記されている。監査役は、この問題の処理にあたって、その核心部分を明確に意識していたとみられる。だからこそ、法的整理を依頼したのだろう。

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筆者

加藤裕則

加藤裕則(かとう・ひろのり) 朝日新聞記者

1965年10月、秋田県生まれ。岩手大人文社会科学部卒業。1989年4月に朝日新聞社入社。静岡支局や浦和支局(現さいたま総局)などに赴任した後、1999年東京本社経済部員。その後、名古屋や大阪でも経済記者を務めた。経済部では通産省(現・経産省)、鉄鋼業界、トヨタ自動車(名古屋)、関西空港・神戸港などを取材した。コーポレート・ガバナンスや会計監査について自主的に取材を重ねてきた。2014年9月から石巻支局員として東日本大震災からの復興の過程を取材。2018年4月から東京本社の経済部員として経団連などを担当している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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