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日本の「祝日」を減らそう

年間16日も祝日がある国は先進国では日本と韓国だけだ

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 現在の日本の祝日は1948年7月10日に公布、即日施行された「国民の祝日に関する法律」によって定められたものだ。当時はまだ占領下、戦前の日本の法律や慣習が、「民主的」でないと、次々と変更されていった時期だった。

初の建国記念の日。大阪・戎橋筋商店街には目抜き通りいっぱいに日の丸が並んだ=1967年2月11日
 戦前1927年に制定された「休日に関する件」(昭和2年勅令第25号)が廃止され、新法によって祝日が変更されたのだった。

 廃止となった祝日は、元始祭(1月3日)、新年宴会(1月5日)、紀元節(2月11日、ただし昭和42年に建国記念日として復活)、神武天皇祭(4月3日)、神嘗祭(10月17日)、大正天皇祭(先帝祭、12月25日)の6つ。

 改称されたのは春季皇霊祭(春分日)→春分の日、天長節(4月29日)→天皇誕生日(当時、昭和天皇の誕生日)、秋季皇霊祭(秋分日)→秋分の日、明治節(11月3日)→文化の日、新嘗祭(11月23日)→勤労感謝の日の5つの祝日だった。

日韓は祝日が多い

 現在、日本の祝日は16ある。元旦(1月1日)、成人の日(1月の第2月曜日)、建国記念日(2月11日)、天皇誕生日(2月23日)、春分の日(太陽が春分点を通る日―3月20日頃)、昭和の日(4月29日)、憲法記念日(5月3日)、みどりの日(5月4日)、こどもの日(5月5日)、海の日(7月第3月曜日)、山の日(8月11日)、敬老の日(9月の第3月曜日)、秋分の日(太陽が秋分点を通る日、9月23日頃)、スポーツの日(10月の第2月曜日)、文化の日(11月3日)、勤労感謝の日(11月23日)である。

 年間16日も祝日がある国は先進国では日本と韓国だけだ。アメリカは10日、フランスは11日、ドイツは9日、イタリアは11日、イギリスは8日となっている。

 例えば、アメリカは新年(1月1日)、キング牧師誕生日(1月20日)、ワシントン誕生日(2月17日)、戦没者追悼記念日(5月25日)、振替休日・独立記念日(7月3日)、独立記念日(7月4日)、労働者の日(9月7日)、コロンブス・デー(10月12日)、退役軍人の時(11月11日)、感謝祭(11月26日)、クリスマス(12月25日)の10日。

 ドイツは新年(1月1日)、聖金曜日(4月10日)、復活祭翌日の月曜日(4月13日)、メーデー(5月1日)、キリスト昇天祭(5月21日)、聖霊降臨祭翌日の月曜日(6月1日)、ドイツ統一の日(10月3日)、第1クリスマス(12月25日)、第2クリスマス(12月26日)の9日になっている。

 多くの国々の祝日は独立や統一の記念日やクリスマス等宗教的記念日が多く、日本のように「山の日」や「海の日」「スポーツの日」等は見られない。どうも、日本は祝日を増やすために無理に不自然な祝日をつくったようにも思える。

 確かに、ユダヤ教の安息日である土曜日が休日になる国が多いことから、土曜日も原則として働いていた日本で、祝日が多いのは自然だったのかもしれないが、昨今は土曜も休むところが多くなっているので、土日、祝日を加えると、日本の休みがきわだって多くなってきてしまっているのだ。

Hybrid Gfx/Shutterstock.com

「敬老の日」はいらない

 筆者は、日本の祝日を外国なみに10日前後に減らすべきだと思っている。「海の日」「山の日」「みどりの日」「スポーツの日」等は必要ないし、「敬老の日」等もけずっていいのではないか。

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