新型コロナ流行で進むテレワーク。便利なツールが多々ある一方、要注意点も多い。
2020年04月27日
この連載では、パソコンやスマートフォンといった身近なデジタル機器を仕事や生活に役立てるノウハウを紹介していく。当面は新型コロナウイルス感染予防策として、「出勤せずに自宅で働く」ことに関連した話題をとりあげる。多くの人にとって、いま緊急の課題だろう。
テレワークの環境は職場によって千差万別だ。すでにシステムが整っていて、使用するソフトやサービス、業務の手順、ルールなどが決まっているなら、それに従えばよい。しかし、この数カ月で状況が激変したため、準備が十分できていない状態でテレワークに移行せざるを得なかった職場も少なくないだろう。「連絡は電子メールか電話で」程度の指示しかなく、作業のやり方は各自任せで、私的な持ち帰り残業とあまり変わらない感覚で取り組まざるを得ないこともありそうだ。
職場からの利用許可や同僚や取引先などの同意を得る必要はあるが、個人レベルで導入できるサービスがテレワークの助けになる場合もある。利用が可能な環境なら、一度試してみる価値はある。
長期に渡って多くの人がテレワークを続けるとなると、同僚や取引先などと顔を合わせる機会が激減する。お互いに事情は承知の上だろうが、多くの人にとって、対面でのミーティングやちょっとした雑談ができないというのは不便なものだ。
電子メールや電話でカバーできることもあるだろうが、意外と役に立つのがスマートフォンのコミュニケーションアプリ「LINE」だ。
若者を中心に、友人や家族とのやりとりで使い慣れている人が多い。短いメッセージで、メールより気軽に、素早いやりとりがしやすく、同僚や取引先などを「グループ」に分類しておけば、関係者全員への連絡も簡単、確実だ。グループでのビデオ電話機能もあるので、「顔を合わせて打ち合わせ」もOK。「いちいちスマートフォンを使うのは……」という人には、パソコンから利用する方法も用意されている。
ソーシャルネットワークサービスのFacebookで、特定のメンバーしかアクセスできない「グループ」を作って、関係者のコミュニケーションの場とする方法もある。
ただし、LINEやFacebookは電子メールと違って、一人が「個人用アドレス」と「仕事用アドレス」を切り替えるような使い方を前提にしていない。そのため、アプリの設定や使い方には一定の配慮が必要となる。プライベートで愛用しているサービスを仕事で使うことに抵抗を感じる人がいるかもしれない。
もう少しはっきり公私の区別をつけられるサービスを使いたければ、ビデオミーティングサービスのZoom(ズーム)やマイクロソフト傘下のコミュニケーションサービスSkype(スカイプ)などを試すのもいい。職場のコミュニケーションのデジタル化をさらに推進するのであれば、「ビジネスチャット」と呼ばれるサービスのひとつであるSlack(スラック)なども視野に入る。ビジネスチャットは、組織単位の契約で導入するのが一般的だが、Slackは個人登録でも使えるため、小さいグループで草の根的に導入しやすい。
業務の基本となる電子メールやファイルの扱いにも、テレワークならではの悩みがある。職場の電子メールやファイルを自宅から利用する仕組みが整っていないと、個人のメールアドレスを使った仕事のメールの送受信や、ファイルの取り扱いについて工夫しなくてはならないのだ。
グーグルやマイクロソフトなどの無料メールサービスやファイル保存サービスを組み合わせると、仕事を効率的に進められるようになる。しかし、外部からの攻撃や利用者のミスが原因で情報漏洩につながってしまうことも多い。適切な設定や使い方を身につける必要がある。
しかし、自宅でのテレワークで最初に問題となるのは、パソコンなどの機材や通信環境が整っているかどうかだろう。システムやセキュリティーのトラブルに備えた使い方が重要になる。また、スマートフォン中心の生活で、自宅にインターネット接続用の固定回線を契約していなければ、パソコンをスマートフォン経由でインターネットに接続する方法も把握しておかなくてはならない。
「テレワーク」に従事する人が急増した関係で、パソコンに接続するカメラ、いわゆる「ウェブカメラ」が品薄になり、入手困難な状態が続いている。そこで生かせるのがスマホだ。次回は、手持ちのスマホをウェブカメラの代わりに使う方法を紹介しよう。
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