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「2021年V字回復」は楽観的すぎる/世界も日本も未曽有の危機に

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

世界に拡大するコロナ禍

 IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナ氏は、世界経済の総生産が今後2年間で9兆ドル(約970兆円)減る可能性があると述べた。IMFのWEOは、イギリス・ドイツ・日本・アメリカ等の各国の「迅速かつ大規模な」対応を称賛する一方で、景気後退を免れる国はないだろうと指摘している。

 IMFは新型コロナウイルス感染が年内に封じ込めるとして2021年にはプラス6.0%とV字回復の軌道を描くと想定している。しかし、新型コロナウイルスの感染終息時期を含めて、希望的観測に過ぎないのであろう。

 そして、新型コロナウイルス感染者数は2020年3月中旬から急増しており、4月15日現在、アメリカで77万3792人、スペインで20万210人、イタリアで18万1228人、ドイツで14万1672人、イギリスで12万4743人、フランスで11万4657人と特に欧米で急増している。

 日本は1万1118人と今のところ他国に比べ少ないが、このところ、急速に増加しており(4月22日の時点で前日比377人増)、死者数も増えてきている(4月22日の時点で死者数277人、前日比17人増)。予断を許さない状況だといえるのだろう。

 しかもコロナウイルス感染はIMFの希望的観測のように、決して封じ込まれていない。

拡大OSORIOartist/Shutterstock.com

 アメリカの疫病対策センター(CDC)のレッドフィールド局長は4月21日、新型コロナウイルス感染拡大の第2波が今年冬、アメリカを襲う見通しだとし、インフルエンザの季節と重なるため、今回よりもおおきな影響が及ぶ可能性があると警告している。氏はワシントン・ポスト紙のインタビューで「次の冬に米国に到来する新型ウイルスの襲撃は、われわれが今回経験したよりも厳しいものになる可能性がある」と語ったのだった。

 こうした感染の急速な拡大に対して、各国はそれぞれ厳しい政策を取ってきている。感染者数が1万人をこえたニューヨーク州では、自宅待機令(ロックダウン)に3月22日踏み切っている。それから1か月たっているが、感染は収まらず、逆に大きく拡大してきているのだ。

 ロックダウン開始日=3月22日のニューヨーク州の感染確認数は1万5168ケース(死者114人)、1か月後の4月21日の感染確認数は24万7543ケース(死者1万4347人)とむしろおおきく増加してきているのだ。ただ、ここにきて、感染者や入院患者数が多少減少してきており、「流行のピークの波が平らになった」「感染のスピードがゆっくりになった」等の声が聞こえるようになっている。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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