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命を守り、経済を守るために採るべき政策とは

統計的な「生命価値」が指し示すコロナ対策

馬奈木俊介 九州大学主幹教授・都市研究センター長

「マイナスを小さく」という発想

 3600万人の首都圏まで含めて、外出を禁止すればその影響は甚大である。1カ月の封鎖実行で、5兆円から9兆円弱(日本の国内総生産〈GDP〉1年分の1.4%)の損失との推計もある。

 これは、例えば3300万の観光客を予想している東京オリンピックがもしキャンセルとなったのであれば、損失はGDPの1.4%、延期であれば0.9%との推計もあることを考えると、経済活動の制約の大きな影響がわかる。

 更に4月になり、多くの調査機関で移動制限などに伴う景気悪化の損失が計算されている。多くの機関は世界で、約100兆円以上の景気悪化との推計を出し、また国際通貨基金(IMF)は500兆円と算出している。これらは世界のGDPの1~5%強に相当する。

 このようにマイナス分が中心に語られれば、いかにマイナス分を小さくしようか、つまり結果的に制約はほどほどにしようといった議論になり、効果のあまりない制約になってしまう。そのために感染者が増え続けるので、事後的に制約の対象範囲を増やしていくことに、今回はなってしまった。

一時、1万6300円台に下落した日経平均株価=2020年3月17日午前9時8分、東京都港区拡大一時、1万6300円台に下落した日経平均株価=2020年3月17日午前9時8分、東京都港区

守れる「生命の価値」、日本では567兆円

 ここで発想を変えて、人の命の価値を守ることの意味を考えよう。

 統計学を用い、生命の価値を推計する研究分野がある。人は教育されて働くことで価値を社会に還元できる。そしてその価値ある命を前提に、死亡率を下げるために、いくら支出する意思があるかをもとに計測

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筆者

馬奈木俊介

馬奈木俊介(まなぎしゅんすけ) 九州大学主幹教授・都市研究センター長

国連・「富の計測プロジェクト」を代表し、医療や健康の価値を可視化する新国富報告書(Inclusive Wealth Report)を発表。人的資本の分析、SDGsの施策を進めて、豊かな社会づくりを実現するための新しい指標をつくる研究を実施。 研究室ウェブサイト http://www.managi-lab.com/ Twitter @shunsukemanagi Facebook  https://www.facebook.com/shunsuke.managi.5

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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