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農業破れて農協あり/食料安全保障を脅かす「減反・米価維持」

日本の農業・農政は信頼できるのか?

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 食品が安全であることと、それを安全と思うことは、別物である。隣の農家の作物は安全だと思うが、外国産には不安を感じる。実際には、隣の農家の方が多くの農薬を使っていてもである。

 OECD(経済協力開発機構)では、日本農業は他国に比べて大量の農薬を使用することが批判され、これに日本の農水省は苦しい反論を行ってきた。しかし、国民の多くは国産農産物の方がより安全だと思っている。

 食については、安全の問題とともに、生命健康の維持に必要な量を確保できるかという問題がある。食料安全保障である。

 食料を供給してくれるのは、国内農業と輸入(外国農業の生産)である。安全の問題と同じく、国民は外国の農業よりも国内の農業を信頼する。食料危機が起きたときに外国の農業は頼りにならないので、国内の農業生産こそが頼りになると考えている。これは食料安全保障のためには、国内農業を保護すべきだという主張にもつながる。

 食料を外国に依存したくない、国内の農業をより信頼するという気持ちは、多くの国民が共有しているところだろう。私もそうありたいと思う。

 しかし、これまで日本の農業や農政は、我々国民の食料安全保障を増進し、それに貢献してきたのだろうか?

 多くの納税者(財政)負担と国際価格よりも高い食料を購入するという消費者負担で農業を保護してきたが、このような農業保護は食料安全保障に役に立つものだったのだろうか?

 真の食料安全保障を確立するために、我々は何をすべきなのだろうか?

 新型コロナウイルスの感染拡大で食料危機が起きるかもしれないという主張があるとき、この問題を真剣に考えてみてはどうだろうか。

拡大JIMKOJI/Shutterstock.com

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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