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農業破れて農協あり/食料安全保障を脅かす「減反・米価維持」

日本の農業・農政は信頼できるのか?

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

高い米価による農家保護

 農家の利益と農業の利益は同じではない。日本の農業政策は農家の利益を向上させようとして、農業を衰退させ、食料安全保障を損ねてきた。

 農家の利益と農業の利益を両立させることができる望ましい政策はあった。しかし、農家の利益と言いながら、実際にはそれとは別の利益団体の利益が追及された。望ましい政策を採用することは、この利益団体の利益を損ねることとなるので、採用されることはなかった。

 日本人の主食は米だとされてきた。ところが農政は、1960年以降、政府が農家から米を買い入れ消費者に売り渡すという食管制度の下で、米価を大幅に上げて国産の米の需要を減少させ、さらに麦価を据え置いて輸入麦主体の麦の需要を拡大させたのだ。

 米をいじめる外国品優遇政策を採れば、食料自給率が低下するのは当然だ。今では米を500万トン減産する一方、麦を800万トン輸入している。1960年当時米の消費量は小麦の3倍以上もあったのに、今では同じ量まで接近している。もはや日本は “瑞穂の国”ではない。

拡大Craig Hanson//Shutterstock.com

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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