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WTOは機能不全、TPPに米中を引き込め

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 WTO(世界貿易機関)のアゼベド事務局長が任期半ばで突然辞任を表明した。その背景には、WTOの機能不全がある。

 WTOには、二つの柱がある。

 一つは加盟国で交渉を行うことで、時代の変化に対応した新しい貿易のルールを作ることだ。これは立法的な機能だと言える。

 もう一つは、加盟国間で貿易を巡る紛争が生じた場合、問題となった措置がWTOのルールにあっているかどうかを判断し、違反している国に対して是正を求めるという紛争処理手続きだ。これはいわば裁判や司法的な機能である。

 この両者とも機能がストップしている。

拡大WTOのアゼベド事務局長

変化に応じたルールが作れない

 ガットはモノの貿易について規律していた。1986年に始まり1993年に妥結したガット・ウルグアイ・ラウンド交渉は、ルールが不十分だった農業や繊維について規律を強化する一方、それまでガットがカバーしてこなかったサービスや知的財産権についても新しいルールを作った。こうしてできたのがWTOである。

 WTOのもとで、2001年さらなる自由化を目指したドーハ・ラウンド交渉が開始された。しかし、先進国と途上国との対立によって、2011年この交渉は事実上の停止状態となった。

 その後小さな前進はあったものの、ウルグアイ・ラウンド交渉で合意されたWTOの諸協定に変更はないと言ってよい。27年前に作られたルールが今でも変更なく適用されている。モノについての関税引下げやサービス分野の自由化も進まないままだし、電子商取引など新しい貿易の形態に適合したルールが作れなくなっている。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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