経産省の方針は「化石国」と揶揄されても石炭路線を長期固定化すると宣言したに等しい
2020年07月07日
経産省は7月3日、稼働中の石炭火力発電所140基のうち、旧式で二酸化炭素(CO2)排出量が多い約100基を2030年までに休廃止し、高効率型に切り替えると発表した。
梶山弘志経産相は「脱炭素社会の実現を目指すため」と説明し、メディアは「石炭火力、抑制に転換」(日経新聞)、「CO2減らせ、石炭火力政策転換」(朝日新聞)などと好意的に報道。「コール(石炭)にクリーンはない」と言っていた小泉進次郎環境相も、「敬意を表する」と持ち上げた。
石炭火力は元々、排出するCO2の量が多い。日本が「高効率型への切り替えによってCO2を削減する」というのなら、実際に排出量がどれだけ減るのかを数字で示さなければならない。
しかし、経産相の会見では、質疑応答も含めて、その点に全く触れていない。
上のグラフは環境省が作成したもので、石炭、石油、LNG火力のkwhあたりのCO2排出量を、それぞれ従来型と高効率型で比較している。現在多く使われている石炭火力は一番左の「従来型」(旧式を含む)で、これから導入されるのが右の高効率型「USC」である。
CO2排出量をみると、石油火力「従来型」が0.867であるのに対し、高効率型の「USC」は0.80~0.84であり、減少(改善)幅は5%程度にすぎない。その右にある「IGCC」は0.73で16%減らせるが、実証試験が終わったばかりで、本格的な導入はまだ先の話である。
5%の削減がなぜCO2を減らす政策転換と言えるのだろうか。石炭火力はLNG火力に比べてCO2排出量が2倍も多く、その中でのわずかな変動である。グラフを見れば、石炭火力を使うことの是非が問われる理由がよく分かる。
現在の石炭火力の発電能力は全部で約4200万kWである。50万~100万kWの大規模なものと、10万~20万kWの小規模のものが混在しており、今回休廃止の対象になるのは小規模な発電所が多い。
それにしてもなぜ100基もの休廃止に踏み切るのか。
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