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そこそこ日本化してしてから根付かせる~辺境の国の「苗代」方式

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

そこそこ日本化してしてから根付かせる

 このように、外来のものを一度翻訳語に直し、それを次第に日本化していく方式を松岡正剛は「苗代」方式と呼んで次の様に述べている。

「日本の稲作でとくに注目すべきことは、一旦まいた種を『苗』にして、それを再び田植えで移し替えるという方式を取っている事でしょう」「日本の稲作は、つまり、ダイレクトに育てていないわけです。そのまま大きくしていかない。いったん苗代という仮の場所に種をまいて、ちょっと育て、その苗を田んぼに移し替えて、それから本格的に育てていくんです」

 いわば、漢字の導入から苗代方式を作ったことで、創発が起こって仮名が生まれたということなのだ。(松岡正剛著、「誰も知らない世界と日本の間違い、自由と国家と資本主義」春秋社、2007年)

 苗代方式、あるいは日本化という方式は、中国文明やヨーロッパ文明という巨大なものを日本に受け入れる時に使われた方式だった。全くフェーズの異なるものが入ってくるわけだから、まず「苗代」に入れて育ててみて、そこそこ日本化してしてから根付かせる。中国文明も中国語と共に丸々入れてしまわず、まず「苗代」で手直しや日本流の育て方を施してから、本格的に日本文化に馴染ませるという訳なのだ。日本と中国を翻訳語によってつなぎ、又は、翻訳語によって両立せるといううまい方法なのだ。

拡大Princess_Anmitsu/Shutterstock.com

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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