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わたしたちは何に根ざしているのか

今考えたい、これからの生き方・働き方

中川晃輔 求人サイト「日本仕事百貨」編集長

安心して語れる場を

「日本仕事百貨」提供拡大「日本仕事百貨」提供

 答えは必ずしも「生きるように働く」でなくてもいい。なぜ働くのか。誰と、どこで、何をしていたいか。「暮らし」と「仕事」が重なる今だからこそ、立ち上がる問いがあると思う。それら一つひとつに対して、自分なりの答えを出していく。その積み重ねが、先の見えない状況下での支えになる。

 なおかつそれを、頭のなかで自問自答せずに、アウトプットしたほうがいい。日本仕事百貨では、今年の6月に「今考えたい就活のこと」と題して、就活生対象のオンライン座談会を開催した。出口の見えない、長いトンネルのなかを進むような感覚は、就職活動のときに感じたそれとよく似ている。また、マイナビの調査によれば、今年は6月末までの時点で、内定者の4割以上がオンライン上の選考のみで内定を得ているそうだ(参考:朝日新聞デジタル「内定者の4割以上、オンライン選考だけで マイナビ発表」)。学生のリアルな声を聞いて、できれば力になりたい。そんな想いで参加者を募った。

 すると、30名×3回の参加枠が3日ほどで埋まってしまった。日本仕事百貨で新卒採用の求人情報を掲載することは少ないので、思わぬ反響に驚いた。

 座談会がはじまると、最初は毎回緊張感が漂った。けれども次第に、一人、また一人と、語りはじめる。気づけば予定の2時間を超え、夜深くまで話し込んでもまだまだ尽きなかった。そしていつも、Zoomの画面を切る直前まで名残惜しそうにしている人が必ずいて、もうひと語りするのが恒例になっていった。

 みんな語りたいんだ、と気づいた。それは就活生に限った話ではない。新型コロナウィルスに関する情報は、常に正誤の判断を迫られる。もちろん、正しい情報にもとづいて行動し、誤った情報は広めないことが大事なのだけど、それゆえうかつにアウトプットできない空気感もあるような気がする。

 やっかいなのは、このウィルス感染症がさまざまな分野に影響を与えていることだ。「コロナ禍」を踏まえて語ろうとすると、つい正しいか否かの話になるか、先の見えなさから迷宮入りしてしまいやすくなる。就活をはじめ、「これからどう働いて生きていこうか?」という問いに対して、本当は正解も不正解もないはずなのに。

 わたしたちはきっと、安心して語れる場を求めている。目先の対策や、つかみどころのない未来像についてではなく、自分の本音について。この機会に自分の「暮らし」や「仕事」を棚卸して、再構築したいと願っている人、じつは結構いるんじゃないだろうか。

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筆者

中川晃輔

中川晃輔(なかがわ・こうすけ) 求人サイト「日本仕事百貨」編集長

1992年生まれ。求人サイト「日本仕事百貨」編集長。全国各地のさまざまな職場を訪ね、その地で働く人の想いや企業のストーリーを取材。4,000字ほどの文章と写真で紹介している。コロナ禍を受けて、就職活動中の学生とともにオンライン座談会を開催。先の見えない今だからこそ、立場も年代も関係なく語り合い、新たな関わりを築いていけるんじゃないかと思っている。 【日本仕事百貨】 Twitterアカウント:https://twitter.com/sgt100ca Facebookアカウント:https://www.facebook.com/shigoto100

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです