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「環境にやさしいプラスチック」の開発・普及を急げ!

「モラル頼み」では解決しない。「バイオマスプラ」「生分解性プラ」が決め手

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

「バイオマスプラ」は木材のセルロースやミドリムシから作る

 プラ焼却による大気中のCO2増加は、植物や微生物を原料にする「バイオマスプラ」(下の表)に切り換えれば減らすことができる。

拡大

 バイオマスプラも燃やせばCO2を出すが、その炭素は元々植物が持っていたもので、光合成によって再び植物内部に吸収される。つまり炭素は再生産可能な植物とプラの間をぐるぐる回るだけなので、「カーボンニュートラル(中立)」である。

 バイオマスプラの現在の主な原料はトウモロコシのデンプンだが、これでは食糧問題と衝突する。そこで、東京大学大学院の岩田忠久教授は、木材から取り出したセルロースや、微生物のミドリムシが体内に蓄える物質を元にしたプラスチックを開発している。

 そのプラスチックは、アイロン掛けの200度を超える300~350度の高温に耐え、熱に強い繊維材料として有用だという。

「生分解性プラ」は用途別に分解速度をコントロール

 一方、プラごみによる環境汚染を防ぐには、自然界の微生物が分解してくれる「生分解性プラ」(上の表)が決め手になる。

 生分解性プラは、原料が石油でもバイオマスでも製造が可能だ。微生物はプラの分子鎖(ポリマー)を短く切断して水に溶けやすくし、それを体内に取り込んでエネルギー源にする。最終的に数か月~1年かけてCO2と水に完全分解してくれる(下の写真)。

拡大土壌中の生分解性プラ・ボトルの変化=日本バイオプラスチック協会HPより

 実用化のポイントは、プラの用途(農業用、土木用、レジャー用など)に応じて、分解する速度をコントロールすることだ。早すぎず遅すぎず、適切なタイミングで分解しなければならない。

 岩田教授は、プラスチックの結晶が大きくて量が多いほど分解が遅くなること突き止めた。製造段階で結晶の大きさや量を制御することで、分解速度をコントロールできるという。

 さらに自分を分解する酵素(生分解スイッチ)をあらかじめプラスチックの中に埋め込んでおく技術も開発中だ。捨てられたプラが海で紫外線を浴びてひび割れができると、海水が浸み込み、スイッチがONになる仕掛けだ。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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