メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「ケインズの伝記」を今こそ~「リベラルは経済政策に弱い」を乗り越えるために

アメリカの政界と学会におけるケインジアンがたどった道

与謝野 信 ロスジェネ支援団体「パラダイムシフト」代表

書評
拡大アマゾンHPより

The Price of Peace:
Money, Democracy, and the Life of John Maynard Keynes
Zachary D. Carter (著)

待望のケインズの伝記

 本書は没後70年以上たった今日でも経済学に多大なる影響を与えている経済学者ジョン・メイナード・ケインズの伝記である。2020年5月に本書が出版されて以来、英語圏の各紙で高い評価を得てきた。

 近年のケインズの伝記といえばロバート・スキデルスキーの三部作が最も有名であろうが、残念ながらこの三部作のうち第一部(裏切られた期待 1883~1920年)のみが翻訳出版されており、第二部(The Economist As Saviour, 1920-1937)と第三部(Fighting for Freedom, 1937-1946)は未翻訳である。

 このため日本の経済学を専攻する学生や一般読者にとってケインズの経済学を理解する方法として歴史的背景やケインズ自身の個人的な理想、抱いていた政治哲学の思想などから理解するというアプローチが取りにくい事情があった。

 ケインズの生涯を伝記を通じて知ることはケインズの思想を経済学の教科書以外から学ぶ格好の方法である。だからこそスキデルスキーの膨大な三部作が翻訳されてない現状では、あらたなケインズの伝記が待ち望まれていた。

 著者のZachary D. Carter氏は米国HuffPostのシニアレポーターとして経済政策などを担当しているジャーナリストで本書が初の著書である。経済史の研究家であるスキデルスキーが歴史学的にも経済学的にも学術的なアプローチで伝記を書いているのに対して、あくまでも政治経済のジャーナリストとしてケインズの生涯を描いている。このため学術的資料として読みたい場合には物足りなさもあるかもしれないが、一方でアメリカの政界と学会におけるケインジアンがたどった道という興味深い視点はジャーナリストならではと思わせる。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

与謝野 信

与謝野 信(よさの・まこと) ロスジェネ支援団体「パラダイムシフト」代表

1975年東京生まれ。中学2年から父親の海外転勤に伴いフランスとイギリスで5年間過ごす。1999年に英国ケンブリッジ大学経済学部卒業後、外資系証券会社に入社し、東京・香港・パリでの勤務でデリバティブや資産運用に関わる業務に従事。2019年4月、氷河期世代支援の政策形成をめざすロビー団体「パラダイムシフト」を発足した。 TOKYO自民党政経塾生(第11期)2017年千代田区長選出馬(次点)、同年衆院選自民党比例東京ブロックから比例単独で出馬(次点) 財務相、官房長官を歴任した故・与謝野馨は伯父にあたり、歌人の与謝野晶子は曽祖母にあたる。

与謝野 信の記事

もっと見る