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米中対立は不可避、日本はデカップリングに備えよ

荒井寿光 知財評論家、元特許庁長官

2 中国は建国以来デカップリングを覚悟

(1)グローバリゼーションのメリットを十分に活用

 中国は1978年の鄧小平の改革開放路線以来、社会主義市場経済の考えのもと、外国の資本や技術を積極的に導入してきた。2001年のWTO(世界貿易機関)加盟を機に、輸出を拡大し、グローバリゼーションのメリットを活用して高度成長を成し遂げ、GDP(国内総生産)では日本を抜いて米国に次ぐ世界第2位の経済大国になっている。

(2)閉鎖的な経済エコシステム

 しかし、中国は19世紀に列強に支配された悪夢もあり、建国以来デカップリングを覚悟している。外国からの製品や技術の供給を停止されても、存続できるような自給自足の経済エコシステムを作ってきている。最近も米国などからの要求にもかかわらず、国家資本主義を維持しており、国内市場の開放には消極的だ。

 「科学技術振興法」を制定し、自主技術開発のため科学技術予算を増額し、「中国製造2025」により、半導体などの国産化を進めている。通信に関しては携帯電話のような第3世代では外国の技術や規格を導入していたが、スマホなどの第4世代では米欧の規格や標準とは別の中国独自のものを開発し、次世代の第5世代ではファーウエイが世界一の企業になり中国の規格・標準を世界標準にしようとしている。

 デジタル分野では、「サイバーセキュリティ法」を制定し、国内にサーバー設置を義務付けたり、グーグルなど米国のプラットフォームを排除して、中国独自のプラットフォームとサイバー空間を作っている。さらに「国家情報法」により、全ての情報・データが国家に集まるシステムを作り上げている。

 測位衛星システムでも米国のGPSに対抗する「北斗」衛星を35基打ち上げて、全地球をカバーするようになっている。中国製の5G通信システム、スマホにドローンや監視カメラを組み合わせたものをアジア・アフリカに供給して「デジタル一帯一路」を進め、サイバー空間での中国圏を作り上げつつある。デジタル分野では既に米国技術に頼らないデカップリングを進めている。

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筆者

荒井寿光

荒井寿光(あらい・ひさみつ) 知財評論家、元特許庁長官

1944年生まれ、1966年通産省(現経済産業省)に入り、防衛庁装備局長、特許庁長官、通商産業審議官、初代内閣官房・知的財産戦略推進事務局長を歴任。日米貿易交渉、WTO交渉、知財戦略推進などの業務に従事。WIPO(世界知的所有権機関)政策委員、東京大学、東京理科大学の客員教授を歴任。現在は、日本商工会議所・知的財産戦略委員長を務める。(著書)「知財立国が危ない」「知財立国」(共著)

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