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アメリカ大統領選、バイデン勝利なら官僚は?

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 アメリカ大統領選挙が11月3日に行われる(一般有権者による投票及び開票。選挙人による投票は12月14日)。共和党は現職大統領のドナルド・トランブ氏、民主党は元副大統領のジョー・バイデン氏。バイデン氏はバラク・オバマ大統領の下で2009年1月20日から2017年1月20日迄8年間副大統領を務めている。

 トランプ大統領は45代目の大統領だが、このところ、共和党、民主党が交互に大統領を務めることが多くなっている。1993~2001年は民主党のビル・クリントン大統領、2001~2009年は共和党のジョージ・ブッシュ大統領、2009~2017年は民主党のバラク・オバマ大統領、そして2017年からは共和党のドナルド・トランブ大統領となっている。

 又、1993年からは、いずれの大統領も二期務めている。二期目の選挙は特別の事情がない限りは現職が有利ということなのだろう。

 このパターンが続けば、トランプ大統領の再選という事になるが、現在までの世論調査では、バイデン氏がやや有利だとされている。

Marvin Ruiter/Shutterstock.com

 「リアル・クリア・ポリティクス」の世論調査によると、バイデン氏が選挙人の222人、トランプ氏が選挙人の125人を獲得するだろうとの予想だ。選挙人の過半巣は270人なので、バイデン氏が後48人を獲得すれば過半数に達することになっている。

 もし、この世論調査通り、バイデン氏が勝利すれば、トランプ大統領は一期だけの大統領になってしまう。このところ、一期だけの大統領は1989~93年のジョージ・ブッシュ元大統領以来出ていないが、それ以前は、ジミー・カーター元大統領、ジェラルド・フォード元大統領、リチャード・ニクソン元大統領と一期だけの大統領も少なくなかった。

日本の民主党政権に官僚は反発

 アメリカの大統領は日本の首相以上に強大な権限をもっている。例えば、判事(裁判官)、外国在住大使、各省長官を始めとするすべての連邦公務員の指名権や罷免権を持っている(但し上院の承認が必要)。

 実際、大統領が変わると、特に共和党から民主党、民主党から共和党に代わると各省の人事も長官だけではなく、局長、次長クラスまで大幅な人事異動が行われることが少なくない。日本の場合、総理大臣が変わっても、各省人事を大幅に変えることはあまり行われない。無理に人事権を行使すると、官僚組織の反発を招き、行政の停滞が起こりかねないからだ。

 事実、2009年~2012年に政権を取った民主党は「脱官僚、政治主導」を掲げ、事務次官会議の廃止や政務三役の命令で政治主導を実現しようとしたが、それらは全く機能せず、官僚機構は動かなくなってしまい、大混乱に陥ったのだ。

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