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ついに「日本学術会議」に人事介入 菅首相が進める言論統制

官僚・メディアに続いて学界に迫る強権政治。社会には多様性と寛容さが絶対必要だ

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

国民が自ら国民の首を絞める空気強まる

 安倍政権時代の2014年、内閣人事局を設けて官僚たちの言動を監視し、意に沿わなければ排除してきた総責任者が今の菅首相である。首相就任の際には、「指示に従わない官僚はクビにする」という趣旨の発言をした。

 官僚たちは「モノ言えば唇寒し」である。かつてのように役所内で政策を巡って賛否の議論を戦わすような自由な雰囲気は影を潜めてしまった。官僚主導の弊害はあったが、今では言うべきことも言えず、官僚社会は閉塞感に覆われている。

 メディアに対しても、特に影響が大きいテレビの政権批判的な番組内容には、自民党と共にすかさず攻撃を加えてきた。その結果、メディア側では、出演者やコメンテーターの政治的色合いの配分比率に気を遣うという自主規制が横行している。

 最近の1か月間、「令和おじさん」というアナウンサーの無邪気な連呼を何度聞かされたことか。国民が自ら国民の首を絞める空気が強まっている。

日本学術会議法が定める会員の選考基準は「優れた研究業績」

 焦点の日本学術会議は、あまり知られていないが、「日本学術会議法」という法律を根拠としている。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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