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豊作を嘆く農協~菅首相に既得権打破の覚悟はあるか

米の輸出拡大を阻む最大の要因は、減反による米価維持だ

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 米問題が各紙をにぎわせている。ここでは、何がなぜ問題になるのか、表面ではなく、本質の部分を話したい。

減反面積は水田全体の4割を超える

 今年の米の作柄は101で平年収量をやや上回る。とりわけ豊作というものではない。それなのに、農協や自民党の農林族が、生産が増えてしまったと大騒ぎしている。

 生産のデータを示そう。水田面積は240万ヘクタール、主食用米作付面積は137万ヘクタール、この差が、政府が農家に3~4千億円ほど払って他の作物を作らせる減反である。減反面積は水田全体の4割を超える。

 予想生産量は735万トン。減反を強化して前年から米作付面積を1万3千ヘクタール減少させたが、作柄が101なので、生産量は前年を9万トンほど上回る。これは農林水産省が示している”適正生産量”709万トン~717万トンを20万トンほど上回る。

 適正生産量とは、2014年までに政府が減反目標として示してきた”米の生産目標数量”の代わりに示しているものである。適正生産量に強制力はないという建前になっているが、実際にはこれに基づいて減反が推進されている。

 いずれにしても、予想を超える生産増と今年の需要減を入れると、来年の在庫は適正水準とする180万トンを超える220万トンになるという。

 農協や自民党の農林族は、在庫が増えることで米価が下がることを心配しているのだ。米行政を40年以上も見ている者としては、”またか”という感想だ。

拡大Photo_SS/Shutterstock.com

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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