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コロナと鉄道~人間が移動に使う時間は1日1時間である

東京圏を除き、コロナ禍が過ぎ去れば、都市圏鉄道輸送はコロナ前の水準まで戻る

福井義高 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

 コロナ禍は、緊急事態宣言解除のあと底を脱し持ち直したとはいえ、ほとんどすべての経済活動にマイナスの影響を与え続けている。なかでも、鉄道旅客輸送は、最も大きな打撃を受けた産業のひとつである。

拡大大型連休中にもかかわらず閑散とする新幹線ホーム=2020年5月3日午後、JR東京駅
 全JR輸送量(輸送人キロ)の半分、私鉄や地下鉄も含めた全鉄道輸送量の3割を占めるJR東日本の場合、輸送量とほぼ比例する営業収入ベースでみると、2020年9月実績は対前年比49%、新幹線を中心とする中長距離定期外収入に限れば対前年比34%まで落ち込んでいる。輸送量で他の新幹線を圧倒する東海道新幹線(JR東海)の利用者(東京口)も、対前年比38%にとどまっている。

 一方、通勤(・通学)輸送中心の私鉄の場合、落ち込みはそれほどでもない。例えば、東急の9月輸送量(輸送人員)は対前年比66%まで回復している。

 今後、鉄道利用がどうなっていくのか、現段階で確たることは言えない。ただし、相対的に通勤主体の私鉄の落ち込みが小さいことは、二千年にわたる人類の歴史とも整合的である。コロナ禍が過ぎ去れば、人口減少に伴う長期低落傾向はいかんともしがたいにしても、東京(首都)圏以外の都市圏輸送はコロナ前と変わらない状態に戻るだろう。一方、遠距離通勤が相対的に多い東京圏輸送とビジネス需要に依存する東海道新幹線、特に後者にはコロナ禍がもたらしたショックが今後も尾を引く可能性が高い。

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筆者

福井義高

福井義高(ふくい・よしたか) 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

青山学院大学国際マネジメント研究科教授。1962年生まれ、東京大学法学部卒。85年日本国有鉄道に入り、87年に分割民営化に伴いJR東日本に移る。その後、東北大学大学院経済学研究科助教授、青山学院大学国際マネジメント研究科助教授をへて、2008年から現職。専門は会計制度・情報の経済分析。

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