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21世紀は本当にアジア・アフリカの世紀となるのか~コロナで拡大する国際格差

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

途上国で拡大する感染

 問題は、コロナウイルスの感染が2021年にかけて収まっていくかどうかだろう。

 2020年10月末の時点で、世界の感染者数は4395万人、死者数は116.7万人に達している。そして、今まで感染者数の多かったアメリカに次いで、インド、ブラジル、ロシアなどの途上国の感染者数が急速に増加してきている。WHO統計によると、地域別では中南米が1102万人でもっとも多く、これに次いでアジアが9月18日に北米を抜き1000万人を上回った。

 確かに、先進国では財政出動とワクチンの普及で感染症は収まって行くのかもしれないが、経済力が相対的に弱い途上国が先進国同様に回復基調に入っていくかどうかは定かではない。累計感染者数でも10月末の時点でインドが799万人、ブラジルが547万人とアメリカに迫っており、累計死者数でも、インドは12万人、ブラジルは16万人に達している。

 コロナウイルス感染に対処する医療制度・設備の整っているアメリカなど先進国と、その分野で遅れている途上国の格差が更に拡大していくのではないだろうか。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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