菅首相に聞かせたいバイデンの言葉~学術会議問題と米大統領選を比べてみた
米TVメディアの批判精神は健在。痛感する日本との落差
木代泰之 経済・科学ジャーナリスト
バイデン氏の当選がようやく決まった。
この数日、筆者は朝から深夜までCNNテレビの開票速報を見ていた。トランプ大統領に批判的なメディアである。情勢分析は的確で飽きなかったが、とりわけ11月5日夜(現地時間)、トランプ氏がホワイトハウスで行った記者会見の中継は見ものだった。
CNN、大統領会見に「根拠なし」のテロップを張り付ける
ちょうどバイデン氏が郵便投票の開票と共に勢い付いてきた時で、トランプ氏は「不正な選挙が行われている」「郵便投票は詐欺に満ちている」と繰り返し、「裁判に訴える」と述べた。焦りと疲労の色が見て取れた。
すると、会見が始まって間もなく、CNNの画面に「Without any evidence, Trump says he’s being cheated(何の根拠も示さず、自分は騙されているとトランプは言っています)」という、視聴者に注意喚起するテロップが、画面の下部に張り付けられたのだ。

トランプ会見終了後、テロップを貼り付けたまま解説するキャスター=CNNより
大統領の演説を実況中継しながら、同時にその発言内容を「根拠なし」と全面否定している。そのテロップは17分間の会見の最後まで消えなかった。