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コロナ不況から急回復した中国が目指す「双循環」による持続的成長

GDP回復に潜む懸念材料を払拭するため五中全会が打ち出した方針とは

武田淳 伊藤忠総研チーフエコノミスト

インフラ投資、銀行貸し出しは抑制

 しかしながら、政府支出の拡大や過度な金融緩和への依存は、既に問題視されている過剰債務の増大や不動産バブルの発生という弊害をもたらすため、持続力に欠ける。

 国際決済銀行(BIS)の統計によると、中国の政府と企業を合わせた債務残高は、GDP比で2019年10~12月期の203.5%から2020年1~3月期には217.3%へ急拡大し、過去最高(2017年1~3月期の205.7%)を更新した。分母となるGDPがコロナ・ショックによる景気の冷え込みで縮小した影響は小さくないが、債務残高も増勢を強めており、債務の過剰感は確実に強まっている。

 こうした状況を踏まえ政府は、景気の回復が明らかになるとともに、インフラ投資や銀行貸出の伸びを抑制する方向に舵を切りつつある。

輸出の先行きに暗雲

 また、インフラ投資に続いて景気回復を牽引した輸出にも、先行きに暗雲が漂い始めている。

 輸出の足取りを振り返ると、1~3月期に前年同期比▲13.3%もの大幅な落ち込みとなった後、4~6月期には+0.1%とほぼ前年並みを回復、7~9月期には+8.8%まで伸びを高めている(ドルベース)。その間、回復の主役は、4月頃の挽回輸出(コロナ・ショックで一時停止した輸出の再開)や日本向けのマスクなど衛生用品から、景気の復調が顕著な米国や東南アジア諸国連合(ASEAN)向けに移っている。

拡大国際物流会社の倉庫には、輸出用の洋服やアクセサリーが入った「MADE IN CHINA」の段ボールが山積みになっていた=2020年5月15日、浙江省義烏、宮嶋加菜子撮影

 しかしながら、欧米では秋口から新型コロナの感染が急拡大、しかも米国ではコロナ対策より景気回復を優先するトランプ大統領から、コロナ感染抑制を公約とするバイデン前副大統領への政権交代が濃厚となったことも加わり、景気停滞の可能性が高まっている。牽引役だった米国向けが失速し、低迷を脱していない欧州向けが一段と落ち込めば、輸出による景気の押し上げも期待できない。

懸念材料が残る個人消費

 さらに、やや遅れて持ち直しつつある個人消費にも、懸念材料が残る。

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筆者

武田淳

武田淳(たけだ・あつし) 伊藤忠総研チーフエコノミスト

1966年生まれ。大阪大学工学部応用物理学科卒業。第一勧業銀行に入行。第一勧銀総合研究所、日本経済研究センター、みずほ総合研究所の研究員、みずほ銀行総合コンサルティング部参事役などを歴任。2009年に伊藤忠商事に移り、伊藤忠経済研究所、伊藤忠総研でチーフエコノミストをつとめる。

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