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菅総理、「血と汗と涙」の中小企業をいきなり淘汰するのですか?

中小企業社長は「物語」に感動する!現場のプロが「中小企業の強靱化策」を提言します

川原慎一 事業再生コンサルタント

中小手企業は血と汗と涙でできている

 ところで、中小企業の事業主は3つの言葉を嫌うことをご存じだろうか。3つの言葉とは「M&A」「廃業」「相続」だ。

 中小企業は、資本の論理でできているわけではない。株主(オーナー)と経営者は同一であり、借り入れには個人保証をしている。殆どが血縁を基本とした経営体制であり、経営者といえども社員と共に現場で汗をかき、いざ会社の解体や危機となれば、冷静な判断より「情」が優先されてしまう。

 つまり中小企業は資本でできているのではなく「血と汗と涙」でできている。その事業はビジネスではなく、事業主の生き方そのものだ。だから経営者は、事業が自分の手元から離れるような現実は身を切られる思いなのだ。

まず手掛けるべきは機運を盛り上げること

 この血と汗と涙を乗り越えて、抜本的な解決に向かうには、社会全体が中小企業の合従連衡を理解することだ。具体的にはM&Aや積極的な廃業を推進する事業主に対して、「時代にあった判断だ」と評価する機運を盛り上げること。そこは政府や省庁が苦手とする分野だから、民間の力を利用すべきだ。

 そのときのポイントは、「将を射んとする者はまず馬を射よ」だ。このたとえは少し失礼になるかもしれないが、あえて使わせていただく。

 事業主(社長)が真剣に意見を聞く相手はだれか?

 苦労しながらも事業を継続発展させてきた事業主は、まじめで働き者が多い。反面頑固でもある。過去の成功体験から、事業から簡単には退けない。周囲が想像するよりプライドが高いと考えるべきだ。こういう人は、部下や外部の人間の提言を簡単には聞き入れない。

 唯一意見を聞く相手は、つまり射るべき馬は奥方を中心とする家族だ。

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筆者

川原慎一

川原慎一(かわはら・しんいち) 事業再生コンサルタント

1990年代後半、インターネットを利用した旅行関係の企画販売システムを開発してITベンチャーに進出。2000年経営破綻。2億円以上の債務問題を自力で解決。以降、その経験を生かして事業再生コンサルタントとして活躍。飲食業、メーカー、建設業、サービス業等数百社の事業再生に当たる。著書に「先輩、お金の相談にのってください」(東洋経済)、「下町M&A」(平凡社新書)等。中小企業庁事業再生経営改善研究会諮問委員を務める。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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