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2021年の景気回復は極めて困難~コロナは好景気を襲った「スペイン風邪」と酷似している

楽観的過ぎるIMF予測

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

コロナ収束は1年以上かかる

 問題は新型コロナウイルス感染がいつ収束するかという事だ。前述したように、IMFは2020年末までには感染が収束し、2021年には力強い景気回復が実現していくと予想しているのだが、果たしてそうなるのだろうか。

 100年前のスペイン風邪の収束には2年以上かかっている。純粋な比較はできないにしても、新型コロナウイルス感染の収束には1年以上かかる可能性は低くない。とすると、IMFの予測は楽観的過ぎるという事になる。

 確かに、かつてより医療水準は格段に進歩し、ワクチン開発と接種も進められている。しかし、このワクチン開発にしてもWHOの事務局は当初1年から1年半かかると述べていた。

 また、100年前の時点と比べると、グローバリゼーションが急速に進み、海外との往来も爆発的に増加している。そして、それが感染拡大に拍車をかけているのだ。

拡大ETAJOE/Shutterstock.com

 たしかに、出入国禁止を宣言している国も増加し、この状況が続けば、感染の拡大は抑えられるかもしれないが、グローバリゼーションの状況がこれで大きく変わるとは考えにくく、少なくとも、中長期的には海外との交流を大きく減少させることは難しいと言えるのではないだろうか。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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