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東大卒の総理大臣は意外に少ない

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 菅義偉総理が横浜市議会議員から1996年に衆議院選挙で初当選し、総務副大臣、総務大臣、内閣官房長官を経て71歳で総理大臣に上り詰めた事はよく知られている。国会議員職の世襲ではない自民党総裁としては森喜朗以来であり、選挙地盤を世襲していない自民党総裁としては海部俊樹以来。まさにたたき上げの総裁だと言うことが出来るのだろう。出身大学は法政大学、政治学科を卒業している。

 歴代総理を見ると成蹊大学(安倍晋三)、早稲田大学(野田佳彦、福田康夫、森喜朗、小渕恵三、海部俊樹、竹下登、石橋湛山)、慶応大学(小泉純一郎、橋本龍太郎)、学習院大学(麻生太郎)、明治大学(村山富市、三木武夫)、成城大学(羽田孜)、上智大学(細川護熙)等の私学が多く、このところ意外と東京大学、京都大学などの公立大学出身者が少ないのに驚かされる。

 かつては東京大学(あるいは東京帝国大学)出身者が殆どだった時期もある。吉田茂、片山哲、芦田均、鳩山一郎、岸信介はいずれも東京帝国大学の卒業生だった。1960年に池田勇人が総理大臣に就任したが、彼は戦後初の京都帝国大学の卒業生だった。

Vassamon Anansukkasem/Shutterstock.com

 東京大学の最後の総理大臣は鳩山由紀夫。彼は工学部出身で、スタンフォード大学大学院で博士号を取得している。明治以来、最も高学歴の総理大臣だった。

 鳩山の前の東大卒の総理大臣は宮澤喜一。武蔵高校を出て、東京帝国大学を1942年に卒業している。宮澤喜一が早稲田大学出身の竹下登に対して、「あのころの早稲田は入学試験が無かったんですよね」と言って竹下を怒らせたという逸話が残っている。

宮澤喜一氏
竹下登氏

私学出身総理が増えた理由

 昭和初期まで遡ると、殆どが陸軍士官学校、海軍兵学校か東京帝国大学出身者なのだ。

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