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コロナ禍が続くほど株価は上がる?「最大のリスクはコロナ終息」というモラルハザード

株価3万円! 「官製バブルは終わらない」という市場の退廃

原真人 朝日新聞 編集委員

ビットコインも、原油も

 カネ余り現象がもたらした「バブル」は株だけではない。

 暗号資産のビットコインの価格はわずか3カ月ほどで4倍ほどに膨れあがり、1月初めに初の4万ドル台に乗せた。今月上旬には、時価総額がトヨタ自動車を大きく上回って注目されている米電気自動車メーカー、テスラがビットコインを15億ドル(約1600億円)購入したことでも話題をさらい、ますます市場を熱狂させている。

 原油も高騰している。ニューヨーク原油先物価格は2月18日現在、年初より2割以上高い1バレル当たり60ドル超をつけた。

 コロナショックで原油の世界需要は激減した。さらに米バイデン政権の誕生などで今後、世界的な温暖化対策が進む見通しが強まっている。当然エネルギー源としての原油の先行きには黄信号がともっている。それらを織り込んで原油価格は弱含んでいたのだが、このところはそうしたエネルギー自体の実需や将来性よりも、株式など他のリスク資産に比べ割安感があるといった投機の思惑から買われているようだ。

拡大Egorov Artem/Shutterstock.com

 もちろん不動産価格も上昇基調だ。国内でも都心部の高額マンションの価格が顕著に上がっているという。つまり資産市場の商品はいま、対象がなんであれ、「もうかる」投資先なのだ。

 とはいえ、それがどれほど持続可能なものなのかは考えどころだ。

 少なくとも足もとの経済は当然ながら「コロナ以前」より大きく収縮している。国内総生産(GDP)が大きく落ち込んだので、底から回復する成長率は大きい数値になるが、GDPそのものの絶対値でみれば、やはりコロナ禍による落ち込みはカバーしきれていない。日本の実質GDPがコロナ前の2019年レベルに戻るのは2023年ごろ、つまりあと2年以上かかるというのが民間エコノミストたちの大方の見方なのだ。

 いくら今後の経済回復や新市場がつくる経済成長を先取りしているからといって、コロナ前を大きく上回る資産価格の上昇を論理的に説明できる根拠は実はそうとう怪しいのだ。

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。コラム「多事奏論」を執筆中。著書に『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)。共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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