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明るさが見える2021年の世界経済動向 これはバブルなのか?

各種指標や予測から考える

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 国際通貨基金(IMF)は4月6日に発表する最新の世界経済見通し(WEO)で予測を上方修正するとしている。前回1月時点では2021年は5.5%、2022年では4.2%としていた。今回の上方修正はアメリカのバイデン大統領が主導して1兆9000億ドル(約210兆円)規模の追加経済対策など1月以降の新たな政策支援のほか、先進国のワクチン普及による年内の景気浮揚の見込みに基づくという。

回復は力強いものの不確実性もきわめて高いと予測

 特に、アメリカと中国は今年中にGDPがコロナ禍前の水準に回復すると見込まれる数少ない国の一角で、世界経済持ち直しの牽引役になるというのだ。ただ、IMFのゲオルギエバ専務理事は最近の講演の中で、世界経済の力強い回復を予測する一方で「不確実性は極めて高い」と述べている。

 IMFの1月の見通しでは、日本は2020年にはリーマン・ショック後に迫るマイナス5.1%に落ち込んだものの、21年は3.1%に回復するとしていたが、2020年12月に決定した事業費73兆円超の巨額対策に伴い、前回予測から0.8ポイント引き上げている。2022年は2.4%としている。

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 日本経済の成長率は、このところ年平均で1%超(2010〜19年の年平均成長率は1.28%)だった。2020年は新型コロナウイルス感染の影響でマイナス4.8%となった(日本政府発表)。2009年以来、11年振りにマイナス成長に転じたのだ。ただ、IMFのゲオルギエバ専務理事は、日本の2021年の成長率も前回の3.1%から引き上げる考えを表明している。

 日本経済新聞の総合データバンク「NEEDS」の日本経済モデルの予測によると、20年度の実質成長率はマイナス5.2%、21年度は4.6%とされている。21年度の成長を主導するのは、輸出と設備投資。海外経済の回復が続いていることが輸出を支えているという。中国では2020年10月〜12月期の実質GDPが、前年同期比6.5%と3四半期連続のプラスとなっている。アメリカも前期比で2四半期連続のプラス成長が続いているのだ。日本のGDPベースの輸出も1〜3月以降、前期比でプラスが続くと見込まれており、2020年度の実質輸出は前々年度比11.0%減となるものの、21年では15.0%増が見込まれている。

 また、製造業を中心に企業の経常利益は回復が続き、設備投資は底堅く推移する見通し。そして、企業の経常利益は21年度も大きく改善し、今後も設備投資の回復を後押しすると見られている。実質設備投資は、20年度に前年度比7.1%減となったのち、21年度は5.1%の増加が予測されている。見通しは調査機関によっても異なるが、いずれも、2021年のそこそこの回復を見込んでいる。例えば、大和総研グループは2020年の落ち込みは5.3%、2021年の回復は2.3%としている。また、第一生命経済研究所は2020年の落ち込みを5.4%、2021年の回復を3.4%としている。いずれの予測も21年の回復は20年の落ち込みをカバーするには至らないが、かなりの回復が期待されるという。

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上昇続く株価は「バブル」なのか?

 こうした世界経済回復の予測を受け、主要国の株価は上昇が続いている。アメリカのダウ平均株価は、2010年は1万1578USドルだったが、2020年には3万USドルを突破し、2021年3月には3万3000USドルに迫っている。日経平均株価も2010年には1万229円だったが、2017年には2万円を超え、2021年3月には3万円の高値を付けるに至っている。3万円台をつけるのは30年振り。1989年12月29日には史上最高値3万8915円87銭を付けている。いわゆる「バブル」のピークだった。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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