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移民の潜在力を生かす国、生かさぬ国

コロナワクチン開発の立役者はトルコ移民、米IT企業CEOにも移民がいっぱい

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

外国人労働者は600時間のドイツ語学習が義務に

 こうした変化を受けて2000年には「血統主義」だった国籍法が改正され、国内で生まれた移民の子どもにもドイツ国籍を与える「出生地主義」が加わった。

 2005年には「移民法」が新たに成立。外国人労働者は苦手なドイツ語を600時間学習することが義務づけられ、ドイツの歴史や法律、民主主義の価値観などを学ぶことになった。ドイツは「移民国家」に舵を切ったのである。

 現在、ドイツに住む移民やその子孫は1930万人で、全人口の2割を超え、半数がドイツ国籍を取得している。全体の15%がトルコ出身で、ポーランド、ロシア、ルーマニアなどが続く。

「この成功はトルコ人を勇気づける」

 一方で、増える移民や難民を排斥する動きも激化している。右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢」は州議会選挙で大躍進し、外国人労働者、とりわけトルコ人らイスラム教徒を敵視する。

 そうした政治リスクが高まる中で、トルコ移民2世が創業したビオンテックが大ホームランを打った。同社では世界60か国から来た従業員約1000人が働いている。

 その一人でmRNAワクチンの基礎を作った上級副社長カタリン・カリコさんは、1985年にハンガリーから着の身着のまま米国に脱出した移民である。今回のワクチン開発は、いわば移民の力を結集した成果なのだ。

 シャヒン氏は「この成功はトルコ人を勇気づける」と語り、シュタインマイヤー独大統領は「ビオンテックのワクチンが人々の命を救った」と称えた。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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