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「社長を引き受けよう、ただし…」〜長府工産、社員の幸せを創る奇跡の経営(2)

辛酸後の復帰で見せた驚きの決断

神山典士 ノンフィクション作家

会社は誰のものなのか?

 「会社は誰のもの?」。これまでもさまざまな経営者がさまざまな私論を出し、試行錯誤されてきた大きな経営課題だ。古く日本式経営では「終身雇用、年功序列」のもと「会社は社員のもの」だった。だが新自由主義経済となって「会社は株主のもの」という風潮が強まった。この思想では社員の労働環境は護れず不採算部門に働く社員の雇用も維持できない。

 ―――ならば社員を株主にすればいいではないか?

 伊奈はダイレクトにそう考えた。これまでも社員に自社株を持たせる経営者はいた。筆頭株主は社員持ち株会だという会社もある。

 だがパート社員を含めた社員全員に無償支給という企業は聞いたことがない。この制度が始まった18年から毎年7月には在籍2年次となった対象者に支給されているから、その年の利益に応じた税金対策ではないこともあきらかだ。

 なぜ伊奈はこの制度を作ったのか? 本人はこれ以上は語らないが、実はその経営者としての歩みに、その理由はありそうだ。

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筆者

神山典士

神山典士(こうやまのりお) ノンフィクション作家

1960年埼玉県生まれ、信州大学人文学部卒業。96年『ライオンの夢、コンデ・コマ=前田光世伝』にて小学館ノンフィクション賞優秀賞。2011年『ピアノはともだち、奇跡のピアニスト辻井伸行の秘密』(講談社、青い鳥文庫)が全国読書感想文コンクール課題図書選定。14年「佐村河内事件報道」により、第45回大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)雑誌ジャーナリズム大賞受賞。「異文化」「表現者」「アウトロー」をテーマに様々なジャンルの主人公を追い続けている。最新作は『知られざる北斎』(幻冬舎)、『もう恥を書かない文章術』(ポプラ社)『成功する里山ビジネス~ダウンシフトという選択』(角川新書)「社員の幸せを創る経営」(幻冬舎)等

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