メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

コロナのゴールライン 死亡者数が季節性インフルエンザ下回るのが目安

国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長に聞く

岩崎賢一 朝日新聞バーティカルメディア・エディター

治療薬で一気に治る病気になることを望むのは飛躍しすぎ

――日本のワクチン接種率がイギリスのように上がってくるには、まだ時間がかかります。おそらく秋や初冬でしょう。これは、昨年のインタビューした段階では想定内でしたか?

 私はワクチン開発については詳しくありませんが、予想より早く開発されたとは思います。加えて、ワクチンの効き目が思ったよりあることに驚きました。

 治療薬について、「特効薬がない」という言説を最近よく聞きます。これはやや的外れの言い方だと感じています。コロナウイルスは風邪のウイルスの一種です。風邪を治すことは大変だということを私たちは以前から知っていたはずですよね。治療薬でコロナが一気に治る病気になるという考え方は、飛躍しすぎかなと思います。

 一方、この1年間、既存薬が転用できないか医療現場では探索してきました。亡くなるリスクを下げる薬がわかってきたこと、現場の感覚からして目に見えて患者の状態が良くなる薬がわかってきたことは本当に良かったと思います。

コロナインタビュー1・大曲さん拡大5千人を上限に観客を入れて行われた大相撲夏場所4日目。手洗いやマスクの着用など、新型コロナウイルスの感染予防が呼びかけられた=2021年5月12日

――急性期医療でのコロナの治療が終えて快復した後、後遺症に悩まれる人がいます。

 私たちはまず急性期の命を救うことに対応してきたので、その後の問題までは読み切れていませんでした。今思えば、私たち感染症医が診てきたウイルス感染症のデング熱などでも、患者にうつ症状が残ったり、髪の毛が抜けたりしていました。重症者になると後遺症が残るという経験は持っていましたが、コロナの快復後に起こるとは考えていませんでした。

 ただし、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)といったコロナウイルスによる新興感染症の流行の記録をたどる、後遺症の問題は起きています。SARSもMERSも日本で流行は起きていませんし、世界的にみても限られた地域で封じ込められていました。今回のコロナでは、患者数が桁違いに多いので、後遺症の問題が顕在化したのだと思います。

――特効薬という言葉が出てきましたが、日本人にとってなじみのある感染症は、季節性インフルエンザです。この病気については、スイスのロシュ社の抗ウイルス薬が登場し、その効き目について日本でも話題になった時期がありました。その後、他の治療薬も登場しています。「特効薬がない」と言ってしまう背景には、日本のこうした事情があると思います。

 治療薬だけに期待をかけるのは違うと思います。重症になるにはそれなりの理由があります。例えば、重症化リスクには肥満や持病の問題があります。この重症化リスクはコロナに限ったものではありません。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞バーティカルメディア・エディター

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当、オピニオン編集部「論座」編集を担当を経て、2020年4月からメディアデザインセンターのバーティカルメディア・エディター。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

岩崎賢一の記事

もっと見る